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 多くは地元に残って就職しているが、中には成人式に参加するために遠方から地元に戻った人物もいるといい、会場でも「大牟田がNo.1! ナメんな!」「北九州には負けん!」と奇声をあげていたという。

「成人式の会場に入った時に、駐車場に改造車が停まっていて、“あのグループの車だろうな”と予想はつきました。会場の入り口付近でタバコを吸ったりお酒を飲んだりしながら写真を撮っていました。一緒にいた親らしき人に「産んでくれて、これまで支えてくれてありがとー!」と叫びながら花束を渡していたんですが、親はどういう気分で見ていたんでしょうね」(前出・知人男性)

改造車を押収される際、警察に小競り合いにしかける新成人たち

 歩道への危険な乗り上げはともかく、改造車や名前入りの旗、派手な袴姿での成人式は「毎年繰り返されている大牟田の風景」だとこの男性は話す。

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 中には衣装を派手にするために100万円を超える大金を使う人もいるという。

「『大牟田バンザイ、やっぱり1番』と英雄気取りでしたよ」

 “目立ってナンボ”の価値観の中で生きる彼らは、動画が拡散され批判を招いていても、当初はそれを誇っていたという。

SNSに投稿されていた集合写真。2人が検挙されて16人から14人になっているが「後悔なし」という記述も

「やはりどれだけ目立てるかが勝負ですから、拡散され始めた頃は『大牟田バンザイ、やっぱり1番』と英雄気取りでしたよ。暴走前の写真では16人全員いたのに、式が終わった時の写真には14人しかいなくて、2人は捕まったんだなと思って笑いましたが」(同前)

 騒動の拡大を受けて暴走を起こしたグループの1人がSNSで「#歩道の家族ごめんなさい」と謝罪したが、同時に「#後悔なし」とも書き込んでいる。しかしネット上で個人が特定され批判がさらに高まると、次々にSNSを非公開にしている。

 “荒れる成人式”というと沖縄や北九州市が有名だが、大牟田もその荒っぽさでは負けていない。その背景には、地元の“黙認”の空気があるという。暴走があった道路の近くに住む50代の男性は同情混じりにこう語る。

押収された改造車。前は見えるのだろうか

「成人式は子供でいられる最後の日ですから、見て見ぬフリ、容認している人の方が多いんじゃないですか。7月の『大蛇山』の祭りはもっと激しいから、成人式くらいだと驚かないんです。周りも止めるどころか煽る一方で、先輩は『今年の奴らはどうかな』と見に来るし、付き合ってる女の子たちも『派手じゃないとかっこ悪い』というくらい。警察も大勢配備されてはいますけど、街中を警戒することなんてできっこないですからね」