安倍首相は、G8の首脳で唯一オリンピック開会式に出席する
開催前から大揺れの平昌オリンピックだが、この渦中に飛び込むのが安倍首相だ。
安倍首相が産経新聞のインタビューで五輪開会式への出席を明らかにする前には、韓国では開会式に日米中ロの首脳がこぞって不参加になるのではないかと憂慮する声がしきりだった。
韓国の全国紙記者が語る。
「米国からはペンス副大統領の訪韓が決まり、それでも胸をなで下ろしていましたが、ロシアはドーピング問題ではなから不参加となり、中国の習近平国家主席の参加も厳しい状態です。残りは安倍首相が出席するか否かに関心が集まっていました」
長い間「検討中」の札を掲げていた安倍首相が平昌冬季オリンピック開会式に参加すると正式に発表した翌25日、韓国のメディアは一斉に「安倍 慰安婦再処置はダメ……文大統領と会い、直接伝える」(中央日報)、「安倍首相平昌行き、米国の影響で」(朝鮮日報)、「文大統領-安倍、慰安婦問題・北朝鮮の核 異見踏まえて接点模索か」(ハンギョレ新聞)、「安倍 平昌参席……文大統領へ慰安婦合意立場伝達」(京郷新聞)などと報じた。
いずれも平昌オリンピック出席そのものより、「慰安婦合意」について紙面が割かれたが、「G8でオリンピックに出席する首脳は安倍首相だけで、青瓦台(大統領府)が歓迎の意を表わしたように韓国政府は正直ホッとしている」(前出記者)という。
外交関係者は、「外交面でいえば、韓国が一本とられた格好」と苦笑する。
「安倍首相は次期オリンピック開催地のトップとして当然出席しなければなりませんでしたが、それでも、オリンピック出席で訪韓することで日本は先制外交を仕掛けたと思います。そもそも韓日のシャトル外交再開を先に口にしたのは文大統領ですから、安倍首相が訪韓するよりも前に訪日すべきでした。これで、何か借りを作ってしまったような形となりました。
ただ、慰安婦合意については、文大統領は従来の立場を貫くのみとされ、互いの立場を確認する場になるのではないでしょうか」
選手たちの思いをよそに、関係国それぞれの思惑が交錯する平昌オリンピックは、2月9日から25日まで開かれる。