『週刊文春』が1月26日発売号で報じた、厚生労働省所管の公益法人「全国国民年金基金」に、厚労省や社会保険庁の後継組織・日本年金機構からの“年金官僚の天下り”が続いていた問題。本件は、国会でも取り上げられ、公募の募集条件が年金官僚に有利に設定され、事実上の天下りが継続しているとの指摘について、加藤勝信厚労相は31日の衆院予算委員会で「公募の募集要項を見直していく」と答弁した。ただ今回、全国国民年金基金とは別の、47都道府県にある社会保険協会(社保協)でも、まったく同じスキームで“天下り”が行われていることが「週刊文春」の取材でわかった。
社保協は、厚生年金や健康保険の普及を目的とし、戦後しばらくして厚生省(現厚労省)認可の公益法人として、各都道府県に設立されていった。1952年には、その上部組織として全国社会保険協会連合会(以下、全社連)も設立されている。
これらの団体は過去に再三、無駄遣いや天下りなどの問題が指摘されてきたいわくつきの団体でもある。
「2004年に年金保険料、政府管掌健康保険料が投じられて問題視されたのが、社保協が運営を担っていた福祉施設『社会保険センター』『ペアーレ』(共にプールやジムなどを運営)でした。制度改革の結果、2005年にほとんどの施設が廃止になるか、民間に移されました」(厚労省担当記者)
その社保協に、いまだ多くの年金官僚の天下りが続いていた。
「社保協に常駐する職員は数人程度。会長や理事に地元企業幹部の名が並びますがほとんどが非常勤です。そして常勤の理事には地元の日本年金機構OBが収まるケースが多いのです」(厚労省関係者)
社保協は地元の企業から従業員数に応じて、3000円~50000円程の年会費をとり、年金相談や人間ドック、レジャー施設の割引などの福利厚生サービスを提供している。企業は、加入をお願いされると断わりにくく、『第二の年金掛け金』と揶揄されていたこともあったという。