二人で揃えていた『ONE PIECE』の分与で、大揉め
また共同資産は、現金だけに限らない。
「8年間同棲した彼と、近所のスーパーマーケットのポイントカードを共有して使ってたんですが、ポイントが数万円分も溜まってたんですよ。それを別れ際に『くれ』と言われて、ショックでした」(藤森英美里さん・仮名/36歳女性)
ふたりでコレクションしていたものも分与が難しい。
「部屋に『ONE PIECE』の単行本を揃えていたんですが、新刊が出たら気づいたほうが買うようにしていました。いろいろあって別れることになったんですが、この『ONE PIECE』で揉めました。私は意識してなかったんですが、彼は自分がどの巻を買ったのかを覚えていて、これとこれは持っていく、と……。そのあまりのセコさというか細かさに、別れて正解だったなと思いました」(佐々木奈々さん・仮名/33歳女性)
様々なエピソードを伺っていると、カップルの金銭トラブルは恋愛以前に、そもそものお金やモノに対する価値観の違いに起因しているような気もする。
「お互いに30歳で同棲を始めたときに、彼は家賃、私は食費や光熱費を払うということに決めました。生活をはじめた最初のころ、彼が食材を買ってきて自分で料理して食べていたんですが、私がその残りものを使って夕飯を作ったら『俺が買った食材を勝手に使うな。食費はお前が担当なんだから、俺が買ったものを使ったならその分を払え』と詰められました」(山内かなえさん・仮名/32歳女性)
「こっちが生活費を出していたのに!」
また、カップルで経済的に差があると、金銭トラブルも多発するようだ。特に基本的な生活費などを一方がもう一方に依存している状態だと、依存されていたほうの精神的ダメージは深いよう。飲食業をしている山下薫さん(仮名/33歳女性)は、過去の同棲生活を後悔しているという。
「5年ほど前に、3歳年下の彼と同棲していました。その彼は俳優を目指していて、テレビドラマの端役や、舞台などにも出演して頑張っていたので、私もその夢を応援していました。
でも、彼に収入はほとんどなく、バイトにも行かなかったので、生活費のほとんどを私が支払っている状態だったんです。それに加えて、オーディションに行くにも『お金がない』と交通費をねだられたり、服も『衣装だし、必要経費だから』と言われ、私が買っていました。