景気が良くても悪くても、常に巻き起こっている男女関係のもつれ。特に別れ際は気持ちが醒めると同時に、経済的にも「清算」となることが多く、ふたりの間で金銭トラブルが起こりがちだ。

 正式に「結婚」していれば、財産分与や慰謝料など、さまざまな方法で対応できるが、ただ交際しているだけだと判断が難しく、お互いに納得できないことも多い。ましてや、それが少額だったり、うまく金銭換算できない事柄だとよりモヤモヤすることに……。

 経済的に貧しくなる一方の日本で起こっている、慎ましいながらも当事者たちにとっては深刻な男女の金銭トラブルエピソードを集めてみた。

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婚約破棄したが、指輪を返してもらえない

 交際しているカップルが、お金のことで揉めがちになるタイミングが別れ際だ。気持ちもサイフも一緒だったのに、それを改めて分けるのは、なかなか判断が難しい作業となる。

 特に、付き合っているときに贈ったプレゼントやお金、生活費の一部などを返してほしいという話が出るのは「あるある」だろう。美容師をしている松本孔明さん(仮名/31歳男性)は、婚約を破棄した時に大いに揉めたという。

©AFLO

「何年も事実婚状態だった、アパレル関係の27歳の女性と婚約したんです。2年ほど付き合ってから、同棲を始めて3年。僕はなんとなくこんな関係でいいかなと思っていたんですが、双方の親がちゃんと結婚しろとうるさくて。そこで一念発起して、ホテルのレストランで親を交えた食事会を行い、婚約することにしたんです。その時に彼女に20万円くらいの婚約指輪を贈りました」

 ただ、いざ結婚というゴールが現実的になると、彼女に迷いが生じてしまった。

「その数日後から、彼女が家に帰らなくなってしまったんです。電話して問い詰めたら『前から好きだった人がいて付き合うことになったから』と言い出し、次の週末に荷物一式を持って部屋を出ていってしまいました。

 これは婚約破棄ということになるので指輪の返還を求めたんですが、『私がもらったものを、どうしようと私の自由でしょ』と開き直られて……。当時の僕としてはかなり奮発したものですし、何より想いがこもったものなので、とにかく返してほしいと何度も訴えたんですが、『もう売ってしまった』と言われ、泣く泣く諦めました」