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「黄ばんだ染みのあるボロボロのTシャツを着て…」

「倉光さんは大柄の坊主頭で、夏はいつも背中に黄ばんだ染みのある、ボロボロのTシャツを着ていました。防犯カメラの映像に映っていたお洒落なオレンジの帽子を被るようなイメージが全くなく、写真を見ても正直ピンと来なくて……。よく乗っていた、シルバーの自転車も同じくボロかったですね。体格がいいので自転車が、子供のおもちゃみたいに見えましたよ。

 毎日、朝7時頃に両親が住む家に出かけ、夜8時頃になると帰って来る。仕事をしている様子もなく、『一体何をしている人なんだろう?』と不思議に思っていました。挨拶をするとニタっと笑い無言で立ち去るので、少し不気味でしたが」

倉光容疑者の自宅に集まる報道陣

 倉光容疑者が働けなかったのには「ある理由があった」と証言するのは、別の近隣住民だ。

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「20年前ぐらいでしょうか、倉光容疑者のお母さんと話していたら『息子が精神的な病気で働けないんです』と言っていたのを覚えています。『息子は引きこもりで自分が死んだら困ってしまう』という理由で、自殺の現場となった別宅を10年ぐらい前に買ったとも言ってました。

 仲の良い普通の家庭だとは思いますが、お母さんはあるキリスト教系の宗教に入っていたようで、数年前にお父さんとタバコを吸って立ち話をしていた時、『女房が宗教にハマって困る』とぼやいていたこともありましたね」

地図上の自宅の場所には「宗教施設の名前」

 近隣住民らによると、自殺した別宅には住宅地図で宗教施設の名前が記載されていたほか、以前は若い男女が談笑する「集会」が開かれ、住民らが勧誘されることもあったという。

倉光容疑者が自殺した別宅 ©文藝春秋

 倉光容疑者はこの別宅で寝泊まりをしており、人の出入りは本人のほか、母が週1度ほど掃除にやってくるだけで、孤独な生活を送っていたようだ。近隣住民の男性が話す。

「息子さん(倉光容疑者)と違い、お母さんはいつも明るく挨拶してくれて、愛想が良かった。私が朝ゴミを出す時に、お母さんはいつも決まった時刻に自転車に乗りやってきて、顔を合わせることが多かったです。別宅の窓を開けて換気したり片付けしたりして1時間ぐらいすると、帰っていくんです。40歳といい歳して片づけも一人でできないのか、と思わないこともなかったですが……。

 息子さんが亡くなった後にも、玄関の靴を片付けたりしに家に来ていましたね。その時、お母さんは目も合わせてくれないほど落ち込んでいて、声もかけられませんでした。てっきり心筋梗塞とか脳卒中とか、病気で亡くなったと思っていて、自殺と知ったのは報道された今日になってからです」

 倉光容疑者の自殺当日には、朝から救急車や消防車が自宅前に止まるものものしい雰囲気だったという。

 また、倉光容疑者の家族は警察に対し、倉光容疑者が「公開手配当日から食事も喉を通らなくなる」というおかしな様子だったと証言しているようだ。自殺前日の“異変”は近隣でも目撃されていた。