東京都立大・南大沢キャンパスで講義を終えた社会学者・宮台真司さん(62)が11月29日、突如何者かに刃物で切りつけられて重傷を負った事件。
目撃証言も少なく捜査が難航するなか、発生から2カ月後の1月30日、事件は犯人と思われる倉光実容疑者(41)の自殺が判明するという衝撃の展開を迎えることになった。その後の捜査で、倉光容疑者の自殺前後の状況が徐々に明らかになってきている。
社会部記者が解説する。
倉光容疑者の自宅に残る「証拠隠滅」の気配
「警視庁は倉光容疑者の自宅を捜索し、父母と共に暮らしていた自宅や自殺の現場となった別宅から、凶器とみられる斧1本のほか、母親から3万円をもらって購入したナイフ1本、自転車や本など計約70点を押収したと発表しました。この斧からは宮台さんの血痕は確認できていませんが、形状などから犯行に使用された可能性もあるとみています。
また捜索で、自宅から倉光容疑者のパソコンやスマートフォンが発見できなかったようです。母親の証言では、倉光容疑者は携帯電話を契約したことがなかったといい、パソコンについては公開捜査後に捨てており、『壊れた』とその理由について話していたとか。捜査の網が狭まるにつれ、倉光容疑者が証拠の隠滅を図ろうとして焦って捨てた可能性もありえます」
警視庁は昨年12月12日と今年1月27日、2度にわたり倉光容疑者が現場から立ち去る防犯カメラ映像の写真などを公開。社会学者として日本でも指折りの知名度を誇る宮台さんが襲撃されたとあって、事件は世間の注目を集め、メディアでも繰り返し倉光容疑者の写真は放映された。
にもかかわらず早期に特定につながらなかったのは、こうした“証拠隠滅”も影響していたようだ。近隣住民の女性が話す。