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「倉光容疑者がリュックを背負っている姿も見たことがありませんでした。マスクをしていることもあってか、ニュースで倉光容疑者の写真を見ても、普段のイメージと違うので正直全然ピンとこなかったんです。いつも1人で引きこもっているイメージで、そもそも見かけることも少なかったですし、今になってよく見ればわかるぐらいで……」

 警察が押収した所持品の中からも、カメラに映っていた帽子やリュックなどは発見されておらず、倉光容疑者は犯行発覚を逃れるため、事件後に捨てた可能性もあるようだ。

警視庁が公開した容疑者とみられる男の画像[警視庁提供] ©時事通信者

「あの事件の犯人だ」気づいた母親の苦しすぎる胸中

 あの事件の犯人だ。

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 そう気づいていたのは母親だけだった。公開捜査当時に倉光容疑者が犯人ではないかと思ったものの、「親の気持ちとして犯人ではないと信じたい気持ちが強かった」と胸の内に抱え込んでいたようだ。現在は警視庁の調べに対し「息子で間違いない」と話しているという。

 なぜ孤独な中年男性は突然宮台さんの襲撃を決意したのか――。警察が倉光容疑者に辿り着いたときにはすでに自殺後だったことから、動機を解明することは難しい。ただ、ここにきて自宅から宮台さんと倉光容疑者を結び付ける、ある本が発見された。

 前述の社会部記者が話す。

「『おどろきの中国』という2013年に出版された本です。内容は、存在感を増す中国について宮台さんら社会学者3人が様々な観点から分析しているものです。特別、中国を礼賛して日本を堕とすような内容でもありませんが、倉光容疑者が過大に問題視して宮台さんに敵意を持った可能性もあります。本は倉光容疑者の父親が買い与えたもので、自宅のリビングに置かれていていつでも読める場所に置かれていたようです」

倉光容疑者の自宅で発見された『おどろきの中国』(講談社現代新書)

 もっとも宮台さんは著名なだけあり、数々のニュース番組にも出演するなど、この本以外が犯行の動機となった可能性は否定できない。近隣住民らによれば、倉光容疑者は高校2年時から不登校になり、そのまま退学。「精神病を患って」、アルバイトも含めて一度も仕事をしたことがなかったようだ。携帯電話も契約したことがないなど、外部の人間との接点は乏しかったとみられる。

 倉光容疑者と息子が同級生だという女性は首をかしげる。