ホストクラブでシャンパンを入れるために親の形見を2万円で手放す――。一見すると不可解だが、自身も1000万円以上を貢いだA子さんは「気持ちはわかる。ホストクラブはそういうところ」と言う。
「私は家が割と裕福だったので、大学で上京する時に親が新宿区にマンションを買ってくれました。なのでバイトして稼いだお金は全部自由に使えて、同年代では貯金もある方でした。ホストに初めて行ったのは大学3年生だった20歳の頃。友達に『ホスト行ってみない?』と誘われて、それが沼の始まりでした……」
ホストに貢ぐ友達を見て「私にもそれくらいできるけど?」
東京での暮らしに慣れたつもりだったA子さんにとっても、歌舞伎町のホストクラブは別世界だった。着飾った男性たちにハイテンションでちやほやされるのが楽しく、最初は1回あたり1万円以内の範囲で遊んでいたが、徐々に金額がエスカレートしていったという。
「私をホストクラブに誘った友人がお店で“担当ホスト”を決めて彼にお金を落としているのを見て『私もそのくらいできるけど?』と女のプライド勝負が始まってしまいました。すぐに自分にも担当ができて、気づけばプライド勝負ではなく担当の喜ぶ姿を見るためにシャンパンを入れるように。ガチ恋というよりは“推し”に近い感覚だったと思います」
ホストクラブに通う友人の中には風俗や水商売といった高報酬のバイトを始める人も多かったが、A子さんは「それだけはしたくなかった」という。しかしホストに貢ぐことはやめられず、別の方法でお金を稼ぐ必要に迫られた。
「親に何度も仕送りをしてもらって貢ぎを続けていたんですが、大学を卒業して働き始めても仕送りをねだっていたらさすがに呆れられてしまって。それで頼ったのが質屋でした。お金に余裕がある時に集めていたブランド品を売って、できたお金でホストに行く繰り返し。でもお金もブランド品も無くなってきて、水商売も抵抗があったので『さすがにホストもやめ時かな』と一度は通うのをやめたんですが……」