首を刃物で何度も刺された平林さなさん(24)の無残な遺体が発見されたのは、東京都府中市にあるラブホテルの一室だった。平林さんを殺害したとして逮捕されたのは、現場から1.5キロ離れたマンションに住む、職業不詳の石川晃容疑者(54)。
2人の足取りは、2月2日午前2時ごろにラブホテルに入り、その後午前6時過ぎに石川容疑者がひとり部屋を出たことがわかっている。チェックインから丸一日経った3日午前1時半、部屋から出てこない平林さんを不審に思ったラブホテルの従業員が、「宿泊客と連絡がとれない」と通報した。警察官がかけつけたところ、平林さんが首から血を流して死亡しているのが見つかったという。
社会部記者が話す。
「確実に殺すためにナイフで首を3回刺した」
「石川容疑者は通報から4時間後に身柄を確保されました。素早い確保となったのは、石川容疑者がラブホテルを出た後、自宅マンションの敷地内で寝込んでいるのを警察官が不審に思い、職務質問していたことがきっかけです。
その際、石川容疑者は亡くなった平林さんのマイナンバーカードをなぜか保持しており、『友人が忘れた身分証で次に返す』と説明していました。職務質問した捜査員がマイナンバーカードに記載されていた平林さんの名前を憶えており、平林さんの遺体発見後に石川容疑者の自宅を張り込んでいました。すると足元がおぼつかない状態で石川容疑者が帰宅し、『殺しました』と認めたため確保したのです」
身柄を確保されとき、石川容疑者は犯行に使用したとみられる血のついたサバイバルナイフを2本所持していたという。また関係性は定かではないが、石川容疑者はこれまでにも複数回、平林さんに会ったことがあると話しているようだ。石川容疑者は警察の調べに対し、「ベッドで寝ていた平林さんを確実に殺すためにナイフで首を3回刺して殺した」と容疑を認めているという。
府中駅からほど近い家賃6万円強のワンルームに1人で暮らす、50代男の身勝手極まりない犯行。なぜ未来ある24歳の平林さんは、男の凶行の犠牲者にならなければならなかったのか。
平林さんは祖父、父と代々地域で信頼される医師の家庭で生まれ育った。近隣住民の女性が「恵まれているように見えた」という環境について話す。