ある高齢夫婦が近隣住民の家に駆け込んだのは、05年夏頃。「娘が共同生活をしている」と聞き、奪還に訪れたという。
「娘さんの手を取って連れ帰ろうとしたら、スプレーを吹き付けられたそう。眼を押さえながら『眼に何かをかけられたので、洗面所を貸して下さい!』と言っていた。警察に相談したが、娘さんに『好きでここに居るんだから帰らない』と抵抗され、泣く泣く帰っていった」(近隣住民)
「夢の中で『もてる呪文』を獲得」
渋谷はこの頃、報道陣にこう嘯いていた。
「夢の中で『もてる呪文』を獲得し、占いにきた女性に試したら続々と女性が集まった。10人に6、7人は成功する。愛は分配している。私は狭心症で虚弱体質なので働いている女性に金を出してもらっている」
捜査のメスが入ったのは、その直後だった。05年10月、渋谷は20歳の女性に共同生活に加わるよう強要。逃げようとする彼女を「人に話したら命が危ない」などと脅し、06年1月に脅迫容疑で逮捕されたのだ。自宅から押収されたのは、高圧電流銃や「ザ・殺人術」「催眠術師になりたい」と題された書籍だった。
「26歳女性への強要未遂容疑で再逮捕され、06年5月、有罪判決を受けた。当時渋谷と暮らしていたのは、女性11人と女児1人でした」(前出・記者)
一度目の逮捕から約17年――。渋谷は、残った9人の“妻”と息を潜めるように暮らしていた。
「彼女たちは皆メガネをかけていて地味。パンツスタイルで電動自転車に乗り、朝7時に出て、夕方5時に帰ってくる規則正しい生活を送っていた。小学生の子供は、車で学校に通っていました」(別の住民)
今も“妻”たちは、渋谷の帰宅を待っているという。
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