ノンフィクションライター・中村淳彦氏の『名前のない女たち』シリーズは、AV女優へのインタビューをまとめた累計40万部を超すベストセラーだ。その最新作『名前のない女たち 貧困AV嬢の独白』を原作にした映画『名前のない女たち うそつき女』が公開される。AV女優を取材するルポライターの志村を演じるのは吹越満さん。
「AV女優をインタビューするために、ゴミが散乱する女性の部屋へと上がる場面があります。ライターとしてはその状況を面白がりながらも、取材のためにはそこに居続けなければならない。それは中村さんの実体験を描いていると思うのですが、ライターとはそういった気持ちがせめぎ合う仕事なんだなぁと感じました。志村は突き放すようにAV女優と接するのですが、彼自身もパズルのピースが欠けたような人生を送っているんです。みんな、どこかでうまくいってない日常を生きているんですよね」
この作品はAV業界が孕(はら)む問題を世に問うのではなく、AV女優やホストと呼ばれる若者、そしてライターたちが生きる、どうにも薄暗くて肌寒い、いまを映しているのだ。
「サトウトシキ監督は、明確に“こうです”という答えを示してはいません。むしろ僕たちが生きる現実と同じ一日の出来事を通して、お客さんは何を感じるのかということを投げかけているのではないでしょうか」
『名前のない女たち うそつき女』
2月3日より新宿K'sシネマ。以後、全国順次公開
http://namaenonaionnatachi-movie.net/hp/