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 たしかにダンスがヘタで、パーティーと言いつつ家で一人さびしくジグソーパズルを完成させながら飲んでいても、ピーナッツ入り(つまり若干ふくよかであることを意味している)であっても、「I’m Just Gonna Be Me(私は私でいいの)」と連呼するあたり、「紫」は一見多様性の代表のようにも見える。

 だが実際のところ、それは旧来の価値観によって描かれた“多様性のようなもの”でしかない。むしろ、今の社会に対する認識が中途半端、浅はかであることを露呈させたとも批判されている。

 例えるなら、マース社の一連のD&Iは、若い人たちの流行りに無理に付いていこうとし、最後の最後で外してしまった結果、余計にジェネレーションギャップを際立たせてしまう「痛いおじさん」のようなものだった。

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安直すぎる「若者ウケ」は企業にとって逆効果

 M&M'sに限らず、企業が社会的なテーマを取り上げ、(多くは社会的意識の高い)若い世代とつながりを持とうとして失敗するケースはよく見られる。

 社会的なテーマを取り上げ、それを上手くブランドと結びつけることができれば、一気に意識が高いイメージを作ることができそうだが、現実はそれほど甘くはない。結局、見透かされて炎上するなどして、かえって逆効果になってしまう。

 一連の騒動を受け、先日マース社が「世論を分断させたくない」という理由から、キャンディーたちの「無期限降板」を発表したわけだが、アメリカでは「どうせ、すぐに復活するんでしょ?」と冷ややかな反応ばかりだ。

 それもそのはず。日本時間で本日2月13日に行われる、スポーツ界、広告業界を巻き込む、アメリカンフットボールの一大イベント「スーパーボウル」に、マース社がM&M'sとともに帰ってくると言われているからだ。

 2億人以上の人が視聴するといわれているスーパーボウルの舞台で、M&M'sがどんな形で仕切り直しをするのか。今から気になるところである。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。次のページでぜひご覧ください。