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安倍元首相のトンデモ発言

 丸川氏の過去の罵倒が話題になったとき、同じく注目されたのが安倍晋三元首相の同時期の言葉だった。民主党政権の所得制限のない「子ども手当」に対して、

《子ども手当によって民主党が目指しているのは子育てを家族から奪い取る子育ての国家化・社会化。これはポル・ポトやスターリンが行おうとしたことです》

 と雑誌で語っていたのだ。強烈すぎる表現だがこの時期のことを考えると興味深い。

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©文藝春秋

 この頃は野党だった自民党が政権奪取を目指していた時期だ。そのために多くの保守的な団体の支持をより一層固めていたと言われる時期でもあり、「子育てを家族から奪い取る子育ての国家化・社会化」とか「ポル・ポトやスターリンが行おうとしたこと」と安倍氏が言うことで喜んだ人も多かったはずだ。昨年の安倍氏銃撃事件以降、旧統一教会問題にスポットが当たったが、あれは多くの団体のうちの一つの可視化だったとも言える。

ウケ狙いか、自画自賛か

 蛇足だが当時の「子ども手当」議論についてはこんな動きがある。

《立憲民主党国対委員長・安住淳が調子に乗って「失われた10年政策検証チーム」を設置したのはどうかと思う。(略)さぞ留飲が下がる思いだろうが、民主党時代の失政も数知れずあることを忘れてはならない。》(日刊スポーツ2月3日「政界地獄耳」)

 安住氏の場合は誰かへのウケ狙いというよりは単なる自画自賛に思えた。

 政治家の言葉を長いスパンで見ると興味深い。誰が本気で言っていて、誰が思惑たっぷりのウケ狙いだったのか。それともただの自画自賛なのか。とても気になります。