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 偉い人にウケるために差別発言を積極的に言う人がいるのが一つ目の構造だとすると、二つ目はそんな発言にほくそ笑む人々や集団の支持を得るために、岸田首相は杉田氏を起用しているのでは? という構造が浮かんだのだ。

 しかし、今回の岸田首相の同性婚を法制化すると「社会が変わってしまう」という答弁を聞くと考えてしまう。あれはアドリブだというから余計に気になる。「社会が変わってしまう」はコア保守層にウケるために言ったのか、そもそも首相の本心なのか。

 もしコア保守層にウケるために言ったなら岸田首相は杉田水脈氏と同じようなキャラであることがわかる。中身が無さそうな人が首相を務めているという恐ろしい説が見えてきてしまう。

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 そうではなく本心で言ったというなら「全ての人が生きがいを感じられる多様性のある社会」はずっと嘘を言っていたことになる。一体どっちなんだろう。記者の皆さんは今こそ「聞く力」をオンレコの場で発揮したほうがよいのでは。

丸川珠代「愚か者めが」と絶叫

©文藝春秋

 さてウケ狙いといえば、丸川珠代参院議員の「愚か者めが」という言葉も話題になった。2010年に民主党政権が子ども手当法案を採決しているときに自民党の丸川氏が「愚か者めが」「このくだらん選択をした、馬鹿者どもを絶対に許しません」と叫んでいたことがあらためて注目されたのだ。罵倒も酷いが、言葉づかいがおじさんぽいのも気になった。ああいう言葉づかいをすることで身内のおじさん達にアピールする意味もあったのだろうか? それならここでもウケ狙いである。またしても。

 あらためて言うと政治家は罵倒はやめた方がいいと思う。政治家が本当に議論のプロであるなら、議論をすればするほど時には「あれ? もしかしたら自分の考えは間違っているかもしれない」と気づく瞬間だってあるだろうからだ。相手を罵倒してしまったら自分を追い込むだけ。意地が邪魔をして議論ができなくなるのはもったいない。