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「法律より、なぜかNHOの独自ルールの方が強い」

 別の東京医療センターの看護師が説明する。

「NHOの常勤職員は夜勤をすることが必要というルールが根付いていて、育児休業法が適用される空気はまるでありません。未就学の子どもがいる場合、夜勤は希望があれば免除しなければいけないと法律で決まっているはずです。なのに、1歳の子供がいてもお構いなし。『月2回だけなら、実家のお母さんに面倒見てもらえるんじゃない?』と簡単に言われる。夜勤ができないならやめるしかない、というような圧力で、結局、夜勤免除が認められた看護師はほとんどいません。法律より、なぜかNHOの独自ルールの方が強いんです」

小誌報道後、東京医療センター院長が職員に送ったメール

 京都医療センターの看護師もこう証言する。

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「子育てで時短勤務に切り替えても、ほぼ全員が通常時間か、それ以降まで残らされている。毎回『時短取り消し』を申請する必要がありますが、もちろんすんなり通りません。結局、時短を申し込むと、サービス残業が増えて、損してしまうのです」

弁護士の見解「病院の規則上『無理』だなんて即アウト」

 労働問題に詳しい旬報法律事務所の佐々木亮弁護士は、こう指摘する。

「妊婦に夜勤をやらせるのはもってのほか。出産後の夜勤についても、小学校就学前までの子どもがいる場合、申請があれば免除しなければいけないと育児・介護休業法で決まっています。『事業の正常な運営を妨げる』ときは病院側も断れますが、その人でないと出来ない仕事がある場合など、極めて限定的で、病院の規則上『無理』だなんて即アウトです」

 NHOの本部に事実関係を問うと、次のように回答した。

「妊娠中の職員は、請求すれば、深夜勤務をさせるということはありません。育休の期間や、育児時短職員の時間外勤務については、看護態勢の確保が困難な場合、理解を求めて変更を打診することはあります」

東京医療センターでコロナワクチン接種を受ける医療従事者 ©時事通信社

 2月15日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」および2月16日(木)発売の「週刊文春」では、サービス残業の横行や年休を取らせないなど、他にもある労基法違反の疑いや、全国のNHO傘下の病院で働く看護師36人が小誌に告発した“ブラック労働”の実態などを報じる。

●「週刊文春」では今後も看護師の労働問題を報じていきます。情報提供は「文春リークス」にお寄せください。

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