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「正気の沙汰ではなかった」“友だち5000人芸人”の肩書を捨てられなかったカラテカ入江(45)の後悔…相方や後輩にキツく当たったことも

『信用』 #1

2023/02/25
note

 それでも『友だち5000人芸人』の肩書を手放すことができなかった。ブランド品と同様、何もない僕を守ってくれる鎧だったから。

 それを脱ぐのは怖すぎた。僕なんかが丸腰で生き残れる世界じゃなかった。

 改めて、思う。

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 闇営業の騒動が起こらず、今も吉本興業にいて芸人を続けられていたとしたら、どうだったろう。僕は、今よりも幸せだったんだろうか?

 騒動の前から、僕はとっくに破綻していた。周りの人にはそれがはっきりとわかっていた。僕自身も気づかないふりをしていただけだった。

後輩たちに当たる日々

 それでも、僕は人に会い続けた。

 会えない日はイライラした。一人ではいられないから、後輩たちを誘って飲むが、時間を無駄にしているような気がして、焦りばかりが募った。

「お前ら、何かいい情報持って来いよ!」と、後輩たちに当たった。

 ネタを探して、人と会った。声をかけられれば、どういう方なのかもよくわからないまま、会いに行き、一緒に写真を撮った。あちこちで、僕との写真がSNSに上がった。

 それを見た方から「入江さん、〇〇さんとも友達なんですね。僕もなんですよ」と言われても、僕は正直、どこの〇〇さんなのかさえわからなかった。顔すら思い浮かばなかった。

 正気の沙汰ではなかったと思う。

信用

信用

入江 慎也

新潮社

2023年2月1日 発売

「正気の沙汰ではなかった」“友だち5000人芸人”の肩書を捨てられなかったカラテカ入江(45)の後悔…相方や後輩にキツく当たったことも

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