2019年の闇営業騒動から4年――かつて「友だち5000人芸人」として、芸能界だけでなくビジネスの世界でも、高い知名度を誇ったカラテカの入江慎也氏。彼が今振り返ると「正気の沙汰ではなかった」という、当時の様子はどんなものだったのか?

 痛恨の自省録『信用』より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

「正気の沙汰ではなかった」という“闇営業”発覚前の入江氏の様子とは? ©新潮社

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手には高級時計、服はハイブランド

 この頃の僕は高級時計をはじめ、いかにもなハイブランドのファッションに身を包むようになっていた。

 有名人と一緒にいて、その人と同じようなファッションをしていると、自分もすごい人になっているような気がした。

 有名人とは四六時中、一緒にいることはできないが、ブランド品は一緒にいてくれる。

 芸人でいるためには、人脈以外のものが必要だった。カッコ悪い自分を守る鎧のようなものがブランド品だった。

 僕は自分に足りないものを自分で補うことを忘れ、人やモノに依存するようになっていた。

 芸人でいるためではなく、少しでも自分を優位に立たせたい、大きく見せたいという、歪んだプライドが生み出した発想だったかもしれない。

 矢部だけでなく、先輩にも同期にも後輩にも、周りの誰に対しても、スキあらばマウントを取ろうとした。自分のことを認めてほしかった。