2月21日、上野動物園のジャイアントパンダ・シャンシャン(メス・5歳)が返還先の中国に向け旅立った。日本時間午後6時半ごろ、中国に到着する予定だという。
2017年6月に上野動物園で生まれて以降、アイドル的存在として長年親しまれてきたシャンシャン。予定されていた「帰国」はコロナ禍の影響を受け難航し、心配する声も上がっていた。上野動物園で一大ブームを巻き起こしたアイドルたちの姿を報じた「週刊文春」の記事を公開する。(初出:「週刊文春」2022年8月18・25日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)
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上野動物園のジャイアントパンダ・シャンシャン(香香・5歳)は、2022年12月に中国への返還が予定されている。そんなシャンシャンに異変が――。
シャンシャンは、2017年6月12日に生まれた。上野動物園で出産から一般公開まで育ったパンダは、1988年に生まれたユウユウ(悠悠)以来、29年ぶりとあって人気が爆発。
「現在でも観覧には、1時間ほど待つなど人気は抜群です」(パンダジャーナリストの中川美帆氏)
そのアイドルが、今年7月に一時、展示を休止していた。動物園によると、パンダ舎で使用している空調機器が老朽化し、不測の事態に備え工事を行うため、一時、住まいを移したのだという。ところがシャンシャンの展示は、再公開前日の19日になって延期に。
「慣れない生活の影響により、東園に戻った当初は落ち着かず」「物音に反応しえさを食べるのを止めてしまう」(上野動物園HP)
月1回、公表される体重測定の結果を見ると、5月に100キロ台に達し6月25日も102.6キロ。ところが、引っ越し後の7月25日には、95.8キロと痩せてしまったのだ。
日本パンダ保護協会会長で前上野動物園園長の土居利光氏はこう解説する。
「パンダは目があまり良くないのですが、聴覚と嗅覚が良いと言われています。物音には敏感なんです」
音に反応し食が細くなってしまったというわけだ。幸い8月2日には再公開されたが、心配になるのが、年末の「返還」だ。
「シャンシャンの返還は、コロナ禍等で複数回延期されてきました」(都政関係者)。
帰国の遅れには、日中両国の事情があるとされる。