1985年、「エホバの証人」の名が知られるきっかけとなる事故が起きた。
川崎市で男子小学生がダンプカーにはねられ、病院に搬送されたが、信者だった親が輸血を拒否。男の子は死亡した。
安倍元総理銃撃事件をきっかけにクローズアップされることになった、いわゆる“宗教2世”をめぐる問題。
“親による信仰の強制”などによる宗教2世の児童虐待を防ぐため、2022年12月、厚労省がガイドラインを策定。
そこには「医師が必要と判断する医療行為(手術・投薬・輸血等)を受けさせないこと(輸血を拒否する旨の意思表示カード等を携帯することを強制することを含む。)はネグレクトに該当する。」と明記されている。
輸血拒否だけでなく“むち打ち”問題も
こうした子どもへの輸血拒否とともに、弁護団が問題視するのが、子どもに対する“むち打ち”の虐待。
元2世信者の小松さんはこう訴える。
「エホバの証人」元2世信者 小松猛さん(40):
ビニール製のベルトを二重三重に折り曲げて、それを手製のむちとしてたたく。本当に日常茶飯事で
教団のHPでは、聖書の言葉として「むちを控える人は子供を憎んでいる。子どもを愛する人は懲らしめを怠らない」との一文が紹介されている。
「エホバの証人」元3世信者 夏野ななさん(30代・仮名):
手でたたかれるというのと、家では父親の革ベルトでたたかれる。ベルトの場合は、みみずばれになって血が出るくらいたたかれます。何日もしみるし、痛いしという状況が続きます
弁護団には、宗教を背景とした理由から“むちでたたかれた”とする虐待相談が77件寄せられたという。
「どうして自分の家は…」元2・3世信者の思い
「エホバの証人」元2世信者 小松猛さん(40):
どうして自分の家はエホバなんだと。隣の家に生まれたかったなというのが正直な気持ち
「エホバの証人」元3世信者 夏野ななさん(30代・仮名):
数え切れない人の人生を壊した責任を、必ず取っていただきたいと思っています
厚労省のガイドラインでは、「理由の如何にかかわらず、児童を叩く、鞭で打つなど暴行を加えることは身体的虐待に該当する」と定められている。
「エホバの証人」問題支援弁護団 田中広太郎弁護士:
エホバの証人の中の児童虐待について、厚労省が相当理解くださっていて、実態を把握していこうという気持ちは強く感じました
“輸血拒否”や“むち打ち”について、エホバの証人側はこれまでに「モラルに従って生活するよう教える責任を真剣に受け止めている」などとする声明を出している。
(「イット!」2月27日放送分より)