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「関心のない遺族が廃棄」「『処分を任された』とウソをつき、持ち去ってしまう事件も…」コレクターが“終活”を考えるとき

「関心のない遺族が廃棄」「『処分を任された』とウソをつき、持ち去ってしまう事件も…」コレクターが“終活”を考えるとき

2023/03/12
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コレクター仲間の自宅で火事が……

 さらに訃報が続き、今度は別のコレクター仲間が亡くなったという知らせが届いた。

「僕の師匠のような存在の方で、プラモデルのコレクションをされてたんですけど、アパートを一棟借りてそこを倉庫代わりにしてるくらいのモノがあったんです。その奥様とお話したら『主人が亡くなる前に頼んでいたプラモデルがまだ毎日のように届くんです』とおっしゃっていて……。

 このときも、やっぱりどんなに集めても墓までは持っていけないなということを改めて思いましたし、なんだったら残された家族も大変だよな、という現実をみましたね」

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 そして、さらに身につまされるような「事故」が起きてしまった。

「僕の友人であり、ホビー関係の仕事のクライアントの方がいるんですけど、その方はあるキャラクターのオモチャについては世界有数といってもいいほどのコレクターだったんですよ。

 彼が住んでる賃貸の部屋にはとても置けないので、別にコンテナやレンタル倉庫を借りてそこに保管していたんですけど、手に入れたモノを右から左へ倉庫に突っ込んでるだけで、果たして自分が本当に持っているかどうか実感が湧かなくなったそうなんです」

 とにかく数が集まってしまったコレクターには、よくある心理だという。

「それで彼は一念発起して、郊外に新築の家を建てたんです。1階部分がぜんぶ倉庫で、2階が居住スペース。その新築の1階倉庫にコレクションを全部移して、他にも仕事で使う資料やオモチャもそこに置くことにしたんです。それでもまだ余裕があるので、海外の通販サイトを利用して欧米で売られている巨大なオモチャなどを買い集めていました」

 コレクターとして、夢を叶えたような家。終活という意味でも、ひとつのゴールであり、理想形かもしれない。

「ある日、共通の知人から『あの倉庫ハウスが全焼したみたい』と連絡が入りました。住所も知ってたんで、すぐネットで調べてみたらTwitterに現場近くの方が撮った写真があがってたんです。それが、とても1人暮らしの一軒家とは思えない、化学工場の事故みたいな火柱が上がってて…。

 オモチャは塩ビとかプラスチックで出来てるからよく燃えるみたいで、倉庫にあった超合金のオモチャも溶けるくらいの火力だったそうです。幸い、友人は避難して無事で人的被害はなく、火事は消し止められたんですけど、家もコレクションも全焼してしまいました」

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