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2018/02/05

重量打線が他球団に引けをとらないことは証明済み

 エース金子を筆頭に、安定感抜群のディクソン、そして2年目の山岡と続く先発陣に、田嶋やアルバースらが割り込んでくるなら、その陣容は贅沢だ。その後には昨年1軍デビューを果たした山本だって控えている。

 ドラフト2位にK-鈴木を獲得できたことも――その登録名の是非はさておき――、メジャー進出した平野の代わりの抑えが期待される増井のFA獲得と合わせて、ここ数年高齢化が進む抑え、中継ぎ陣の改革において意味を持っている。同じく弱点である二遊間についても、即戦力の評価の高い福田を取れたことで、西野、大城といった「レギュラーポジションを取り切れない選手たち」に危機感をもたらすことは間違いない。

 吉田正、T-岡田、ロメロ、マレーロと並んだ重量打線が他球団に引けを取らないことは、既に昨シーズンに証明済みである。期待外れのFA後の3年間を経て再契約を済ませた中島、小谷野といったベテランもまだ老け込むには早い。

 とは言え、ほかに鍵を握る選手がいない訳ではない。このチームが長らく低迷を続けている理由の一つは、主力の中に故障がちの選手がいることである。とりわけ昨シーズンを振り返った時、本来なら投打の軸となるべき、2人の選手の怪我は決定的だった。そのうちの1人が吉田正であることは誰もが一致するところだろう。豪快なホームランばかりに目を奪われがちな吉田正であるが、実はチャンスにはクレバーな打撃も出来ることを昨シーズンで立証した。爆弾を抱えてきた腰の内視鏡手術を経て再復帰を図る彼のシーズンを通しての活躍を期待しないファンはいないはずだ。

楽しそうに野球をしている選手たちの姿は望んでいない

 だが、このチームにおいて最大の鍵を握るのは、同じく昨年怪我に苦しんだ西勇輝であろう。2011年に本格的な先発ローテーション入りを果たした西も、今年で27歳、若手とは言いがたい年齢にさしかかっている。同じローテーションには、22歳の山岡や21歳の田嶋が入ることが予想され、西にはベテランの金子と並んで投手陣のリーダーとしての役割が期待されている。西には自らの殻を破り、金子から開幕投手、そしてエースの座を奪い取る意気込みでキャンプに臨んで欲しい。

世界野球WBSCプレミア12(2015年)には、日の丸を背負って出場した西勇輝 ©文藝春秋

 楽天の則本やロッテの唐川と「平成生まれ投手の通算最多勝」を争う西は、すでに実績は十分だ。「オリックスの投手陣は若い」。成功裏のドラフトを経た今シーズンこそ世代交代のチャンスであり、西にはその中心的な役割を期待したい。

 だからこそまずは宮崎のキャンプからが重要だ。ファンが期待しているのは、和気あいあいと楽しそうに野球をしている選手たちの姿ではない。降板を告げられたらグラブを叩きつけ、凡退したらバットで地を叩いて悔しがる。ファンが求めているのは、そんな必死な選手の姿である。22年もの低迷に歯がゆい思いをしているのはファンだけではないはずだ。

 そのためにはまず選手たちには、キャンプ、そしてオープン戦から競争心をむき出しにしてポジションや先発、中継ぎ、抑えの座を争って欲しい。そしてその時こそ、悪夢の22年間が終わりになるに違いない。「あの年が転換点だった」。何年か後にそう言われるようなシーズンとなって欲しいものである。

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【追記】文中で「ロッテの唐沢」としておりましたが、正しくは「ロッテの唐川」です。お詫びして訂正します。

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