男性教員を心配して学校前に集う卒業生「身を挺して生徒たちのことを守ってくれた」
「校門は全部で3つあり授業中は一応閉まっていますが、たぶん手で引けば誰でも入れるんじゃないかと。警備員はいませんし昼休みは開いていることもあるので、ぶっちゃけ、入ろうと思えば、楽勝だと思いますよ」
不幸中の幸いで生徒にけががなかったのは、刃物を振り回す男に向き合った男性教員のおかげだろう。切りつけられた男性教員を心配して学校前に集う卒業生らの姿も見られた。卒業生の女子高校生が語る。
「先生は体育会ではないですが、60代とはいえ大柄な方でした。温厚かつ面白くて人気がありました。いつも生徒に『自立しろ』と言って、陰から生徒のことを支えて応援してくれるタイプでした。今回も、身を挺して生徒たちのことを守ってくれたんじゃないかなと…。刃物を持っている人間を前にして先生も怖かったでしょうが、先生がいなければ誰かが犠牲になっていたでしょう。意識はあるようですが、手術をしたと聞いていますし、本当に無事なのか心配で仕方がありません」
迎えに来た保護者たちが不安げに待つなか、午後3時頃から集団下校が開始された。学校前の通りでは、迎えにきた母親と抱き合う女子中学生の姿なども見受けられた。この中学に通う2年生の息子を持つ30代の保護者女性が不安定な心境を吐露する。
「今頃はお昼を食べている時間だろうなと思いながら、事件直後に学校の前を車で通ったんです。その時に消防車やパトカーがたくさん停まっていて、『何かあったのかな』と心配になりました。すると、1時ごろに学校と連絡をやり取りするアプリから、『学校に刃物を持った不審者が入って、先生が切られた』、3時前には『集団下校をする、来られる人は子供を迎えに来て欲しい』と連絡が入りました。慌てて駆け付けたところですが、学校はスマホの持ち込みがNGなのでまだ息子と連絡がとれていないんです…」