「ベンチに猫の前脚のようなものがある」
2月中旬からつづく一連の「猫殺し事件」は、2月13日午前8時、さいたま市南区にある荒川彩湖公園の管理職員からの通報が皮切りだった。ドッグランや野球場も併設された荒川沿いの公園は、天気のいい日中にはランニングやピクニックをする人々で賑わう比較的多くの人が過ごす施設でもある。
公園内でバラバラになった猫の一部が発見される
かけつけた警察官が見つけたのは、2つのベンチに1本ずつ置かれた猫の脚だった。切り口には故意に切断されたような痕があったといい、何者かが切り落としベンチに放置したとみられている。この公園をよく利用するという女性はこう証言する。
「猫の脚が見つかった前日にも来たのですがその時はなにもありませんでした。きっと閉園後にこっそり忍び込んだんじゃないでしょうか」
捨て猫や野良猫の姿が頻繁に目撃される公園だったが、行政や有志の手による猫の不妊手術という対策の甲斐もあり、ここ数年は公園内を歩く猫の姿も少なくなっていたそうだ。
3日後の16日には同公園内の雑木林であごと後ろ脚が欠損した猫の死骸が発見される。この雑木林はごみの不法投棄なども多く、公園内でも比較的人通りのない場所だった。目立った場所と人目につかぬ場所、それぞれに犯行の跡を残したのはなにか作為があったのか。警察は猫をバラバラにして放置したのは同一犯だと見て捜査を進めている。
2月21日には小学校と周辺施設に爆破予告も
翌日17日、犯行はさらに人目につく場所で行われる。荒川彩湖公園から800メートルほど離れた西浦和小学校の校庭内で、猫のあご部分と見られる白っぽい肉片が鉄棒にぶら下がっている状態で発見された。公園の2カ所で見つかった猫の一部と、小学校でみつかった猫と思しき肉片は、いずれも白色をしていることから、同一の猫が切断されたものとみられている。
一連の犯行を受けて警察はパトロールを強化。近隣の学校でも交替制で保護者や教職員が登下校の付き添いをするなどの対応を行っている。猫の一部が見つかった西浦和小学校に子供を通わせる母親は神妙な顔つきで言う。
「(付き添いは)たいへんですけど子どもが心配で……。神戸で昔あったお子さんの殺人事件も近所の猫殺しが発端だったんですよね。いやでもあの事件を思い出しちゃいます。とにかく早く捕まってほしいです」
近隣住民や学校に通う子供が不安になるなか、この小学校に「2月21日に西浦和小学校とその周辺施設を爆破して子供に危害を加える」という不穏な犯行予告が重なる。一連の猫殺しとの関係は不明だが、予告のあった21日はやむなく休校措置がとられた。