8人の少年グループの包囲を逃れようとして、高さ24メートルの立体駐車場の屋上から会社員の男性(19)が飛び降りる――。2022年6月30日に広島県府中町で起きた事件は、“地方ヤンキー”の恐怖を改めて日本中に知らしめるものだった。
「昨年6月30日の午後7時半過ぎに、少年グループは商業施設『イオンモール広島府中』を訪れた被害男性の車に乗り込むと、立体駐車場の4階へ移動させてまず車内で暴行を加え、財布から5万円を奪いました。その後グループは男性を車の外へ連れ出し、スマートフォンを消火器で叩いて破壊し、買い物カートに乗せたままスロープ内で何度も転倒させるなどやりたい放題。さらに『殴りたいやつおる? スパーリングだ!』『誰か1人に勝ったら許してやる』などと言いながら集団での暴行を続けています。男性は泣きながらどんどん上階へ追い詰められて屋上にたどりつき、20時10分ごろについに約24メートルの高さの屋上から飛び降りたと見られています」(事件を取材した大手紙の社会部記者)
事件が起きたのは午後7時台で、中四国で最大の広さを誇る「イオンモール広島府中」はまだ多くの買い物客でにぎわっていた。立体駐車場から人間が飛び降りる姿を目撃した男性が当時の状況をこう話す。
「男性が飛び降りたほぼ真下の地点にいたのですが、上の方に人影が見えたと思ったらドスンという大きな鈍い音がして、その後に悲鳴が響き渡りました。何があったのかと近づいてみると体が変な方向に曲がった人が倒れていたんです……。あまりに衝撃的な光景で頭から数日離れず、家から出る気にもならず仕事を休みました。後でニュースを見て、そんな凶悪グループの仕業だったのかと驚きました」
「広島にはそういうヤンキーがまだ結構いるんですよ」
屋上から飛び降りた被害男性は一命を取りとめたものの一時意識不明の重体に陥り、左目は失明。今も脳機能傷害の後遺症に苦しんでいることが後に明らかになっている。
暴行を加えた少年グループは8月に8人が監禁や強盗致傷の疑いで逮捕され、9月にはそのうちの6人が傷害などの疑いで再逮捕されている。しかし足場作業員のA(事件当時18歳)を最年長に15歳まで年齢もバラバラだ。彼らは一体何者なのだろうか。Aを知る男性は、匿名を条件にこう語る。
「彼らは地元の“ワル”ばかりが集まったグループです。高校を中退したり中卒の人が多いですが、現役高校生や女子もいる。男はだいたい中卒か高校中退、女はだいたい風俗かパパ活をやってる子というイメージ。広島にはそういうヤンキーがまだ結構いるんですよ……」