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「恐ろしい腕の振りだ…」WBC・佐々木朗希の165キロ直球を甲斐拓也はナゼ捕り損ねたのか? 元プロ捕手は「“若き日のダルビッシュのカゲ”と“170キロの可能性”」を指摘

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表の佐々木朗希投手(ロッテ)は3月4日、名古屋市のバンテリンドームナゴヤで行われた中日との壮行試合で先発登板し、大谷翔平(エンゼルス)が日本ハム時代にマークした日本選手最速記録に並ぶ165キロをたたき出した。

 一方、バッテリーを組んだ甲斐拓也捕手(ソフトバンク)はこの球を捕り損ねた。短期決戦で走者を置いた場面で同じことをすれば致命傷になりかねず、スポーツメディアによると「球がすごかったので……。しっかり捕らないといけない」と反省しきりだったという。

佐々木の165キロの速球を甲斐が落球 ©共同通信

 それにしても、いくら日本最速タイの球速とはいえ、甲斐は事前に球種が分かっていた。しかも変化球ではなく、ストレート。甲斐ほどの捕手なら無難に捕るはずなのだが……。

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 この一球に一体、何が起きていたのか。元中日捕手の中村武志氏とともに探った。

ルーキーのような捕球体勢

 中村氏は映像で確認すると、開口一番「直球をここまではじくとは……。ど真ん中ですよね。これは恥ずかしい」と言った。

「ミットは直球の軌道に入っていた。(投手と捕手で球種が食い違う)サインミスだとすれば甲斐の体に投球が当たっている。また球が微妙に動いていたわけでもない」

 との結論に一旦は至った。しかし、何度か映像を見返すたび、中村氏はひと言で「甲斐のミス」とは言い切れない要因を次々と指摘した。

中村武志氏(2012年撮影) ©文藝春秋

 まず着目したのは甲斐の捕球体勢だった。

「下(下半身)が力んでいる。プロに入って初めて投手の球を受ける捕手のように、『絶対、ちゃんと捕らないといけない』といった緊張が見えた。甲斐には代表の正捕手候補として、きっちりとした仕事を見せないといけないとの意識はあっただろう。そういうことから生まれた硬さが捕球できなかった一因だったと思う」

 甲斐はこのオフ、WBCに備え、ミットを動かすことによって微妙な球をストライクに見せる捕球技術「フレーミング」に磨きをかけた。自主トレーニングでは岡山・関西高、立正大で捕手だったYouTuberの緑川大陸氏に師事し、プロがアマに教えを請うという異例の構図になった。

 MLBで流行のフレーミングを習得し、大谷翔平、ダルビッシュ有(パドレス)といったMLB投手とのコンビにWBCで役立てたいとの思いからだった。

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