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日本時代のダルビッシュのフォームにうり二つ

 中村氏にフレーミングを練習した影響を問うと「165キロが出た球はフレーミングなど不要で、そのまま捕ってもストライクだった」と否定的な見解を示した。

 実際に甲斐は2月25日のソフトバンクとの壮行試合で佐々木と実戦初のバッテリーを組み、そつなく捕球していた。

「当然(3月4日の)試合前も甲斐選手は佐々木選手の球をブルペンで受けていたはず。それでも捕ることができなかった。(165キロは)ミットがボールと衝突していた。(甲斐がイメージした)捕球ポイントより先にボールが来てミットにぶつかった。それほど佐々木選手の球が速かったということ」

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佐々木朗希選手 ©共同通信

 ここで中村氏には、2月の宮崎合宿を共に過ごしたダルビッシュ有投手の存在が佐々木の投球に影響しているかどうかを尋ねた。すると、腑に落ちたように即答した。

「これそっくりですよ。日本ハム時代のダルビッシュ選手のフォームにうり二つになっている」

 佐々木の昨季とのフォームの違いとして主に次の3点を挙げた。

(1)投げる動作に入る前、マウンドに立った時にやや前かがみだった姿勢が真っすぐになったこと

(2)球の出どころがコンパクトになったこと

(3)全体的に力みがなくなったこと

「セットポジションの形も、グラブをはめている左手の使い方が日ハム時代のダルビッシュ選手に似ている。フォームを黒く影にすれば、これがダルビッシュ選手のフォームと言われても分からないと思う。今の佐々木選手は昔のダルビッシュ選手ですよ」

2009年のWBCのダルビッシュ選手 ©️文藝春秋

 佐々木は若き日のダルビッシュのフォームに改造したことがハマり、球に対して力を効率的に伝達できるようになった。さらに今後、(2)と(3)の効果でコントロールがさらに良くなることが期待できるという。