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「月の半分は風邪を引いていた」「『監督、もう声が出ません』と訴えても…」青学卒の元AV女優が語る、過酷すぎた業界の裏側

澁谷果歩さんインタビュー#2

genre : ニュース, 社会

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「監督、もう声が出ません」と訴えても…

――そういった業界に対する不信感が積み重なって澁谷さんは引退を決めたのでしょうか。

澁谷 もちろんそういうのも理由の1つですが、やっぱり自分自身の好奇心が満たされたというのが大きな理由ですね。

 AV女優として活動する中で、だんだんと楽しもうという気持ちよりも楽しませなきゃという気持ちの方が強くなってしまって。刺激や面白さ、新鮮さがなくなり、最終的には仕事がルーティン化しちゃったんです。それに体力的な限界も感じていました。

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 撮影では多くの人と体液を交換するので、常に体調が優れなかったです。扁桃腺が腫れて声が出ないけど、撮影に行かなければいけないということもありました。「監督、もう声が出ません」と訴えても、「大丈夫、まだ行ける」と言われてしまって。これはもう体力的に難しいかもしれないと思って、引退を決めました。

 

――澁谷さんにとって、体力的なきつさには、撮影時間の長さなどが影響していたのでしょうか。

澁谷 そうですね。撮影は朝の8時から長い時は深夜の2時までかかることがありました。それが月に10~15回程度あります。撮影中は女優が動くことも多いので、結構体力を消費しましたね。

 私がスポーツ新聞で現場記者になったときは、月に1回ぐらい風邪を引いていたんですが、AV女優だったときは、月の半分は風邪をひいているみたいな状況でした。体力にはそこそこ自信があったんですが、やっぱりAV女優の仕事は大変でしたね。

AV業界を働きやすい環境にしていくために

――今改めてAV業界に対して思うことを教えてください。

澁谷 業界に対していろんなことをお話ししてきましたが、私はAV女優として活動したことを誇りに思っていますし、いい思い出ばかりです。AVという仕事の楽しさややりがいを感じてきましたし、今後もAVは必要だと思っています。

 そのためには、変わるべきところは変わらなければいけない。AV女優や男優、スタッフたちみんなが働きやすい環境にしていくために、正すところは正していってほしいと思っています。

 

写真=松本輝一/文藝春秋

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