プロ2年目の右腕・大勢が、世界一を目指すWBC日本代表の守護神として最後のマウンドを託されることになった。

 栗山英樹監督率いる侍ジャパンのクローザー候補だった栗林良吏投手が、腰の張りでチームを離脱した。代替選手として招集されたのは今回、代表入りしている宇多川優希投手と共にオリックスで中継ぎ役を務める山崎颯一郎投手。栗山監督はすでに栗林が発症した時点で、最悪の事態を想定して山崎には大会で使用しているメジャー球での投球練習を依頼。ブルペンだけではなく10日の巨人とのオープン戦に登板した際には、1人だけ特別にメジャー球を使ってマウンドに上がるなど準備を進めてきていた。

 そしてこの栗林離脱で、日本代表のクローザーという大役を担うことになるのが大勢だった。

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©️佐貫直哉/文藝春秋

 今回の代表ではクローザー候補として栗林と大勢、そして左の松井裕樹投手が招集されていたが、その中で東京五輪でも日本代表の抑え役を務めた実績のある栗林をメインに構想は進められてきていた。しかし栗林は離脱し、松井は大会使用球への対応で不安が残る。そこで栗山監督は目前に迫る16日のイタリアとの準々決勝の守護神に、プロ2年目の大勢を指名することになった。

「栗林さんも思うようにできない悔しい気持ちを僕たちには見せて来なかったですけど、内に秘めているものはあったと思います。そういったものを僕であったり、チームメイトがプレーで表現できたらいいかなと思っています」

 12日のオーストラリア戦後に離脱が決まった栗林の気持ちを思って、大勢はこう誓った。

オーストラリア戦後には、中央に栗林が座って侍ジャパン全員で集合写真を撮影していた ©️時事通信社

初めてのWBCで1安打1三振失点0

 大勢自身は1次ラウンドでは何度かブルペンで準備はしていたものの、なかなか出番が回って来ずに、このオーストラリア戦の7回に初登板。実戦登板は3月3日の中日との強化試合以来で実に9日ぶりのマウンドだったが、1イニングで13球を投げて1安打1三振で失点0と久しぶりにしてはまずまずの内容だった。