手元の資産を切り売りする「タケノコ生活」は引き受ける相手がいてこそ成立する話だ。「楽天に興味を示すのはNTTぐらい」というのが通信業界の見立てだが、「いわゆる『楽天経済圏』でNTTが事業展開できない限り、首は縦に振らない」とNTT幹部は言う。「経済圏」という天領を開放するか否か。
三木谷氏は大きな決断を迫られている。
岸田首相や麻生氏との関係も深く——経団連新副会長の素顔は?
経団連は、新任の副会長にヴェオリア・ジャパンの野田由美子会長ら6人を起用する方針を固めた。女性の副会長就任はディー・エヌ・エーの南場智子代表取締役会長に次いで2人目だが、外資企業からは初めての招聘となる。
かねてより「自分の意見をはっきり口にする。ブレない性格だ」(メガバンク幹部)との評判で、日本では、PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)における権威として名高い。
野田氏は、東大文学部を卒業し、バンクオブアメリカ東京支店に勤務、ハーバード・ビジネス・スクールへの留学を経て、1990年に日本長期信用銀行に入行。ロンドン支店で民間の資金・ノウハウで公共事業を管理するPFIビジネスに出会ったことが大きな転機に。以降、日本においてPFIの旗振り役となる。
さらに英国のプライスウォーターハウスクーパース(PwC)、横浜市の副市長、北京の清華大学日本研究センターのシニアフェローを経て、2017年に仏・水ビジネスの大手、現ヴェオリア・ジャパンの社長に就任する。
また野田氏は政府の各種委員を数多く務めてきた。
「彼女は、岸田文雄首相と同じ長銀出身で、麻生太郎氏とも関係が深い。PFIの第一人者で、岸田政権の目玉施策であるデジタル田園都市国家構想の火付け役。今度の副会長人事にも政権の意向があるとみられる」(メガバンク幹部)
私生活では合コンで知り合った銀行マンと25歳で結婚。華麗なる経歴の一方で、経営手腕には疑問の声もあがる。会長を務めるヴェオリア・ジャパンが赤字を散発しているためだ。同社は、20年の業歴を持つが、19年12月期に続き、20年12月期も最終赤字を計上する。自己資本比率は1.0%と、財務基盤は極めて脆弱だ。
「外資系初となる女性副会長」の看板を引っ提げ、経団連をどう変えるか、注目が集まる。
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「丸の内コンフィデンシャル」の全文は、「文藝春秋」2023年4月号と「文藝春秋 電子版」に掲載されています。
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