3月2日に急逝した「幸福の科学」の大川隆法総裁(享年66)。「週刊文春」先週号では、大川氏の署名が記された稟議書や報告書の存在を報じた。教団と文藝春秋などが争った訴訟で、東京高裁が事実認定の論拠とした内部文書だ。大川氏は直筆で〈どこでも宗教の本質は「洗脳」なのだ〉などと“本音”を綴っていたが、中身はそれだけではない。

 改めて件の内部文書を精査してみよう。通底しているのは、信者の高齢化や植福(寄附)額の減少に伴う先行きへの懸念だ。

〈停滞しているね。かなり厳しい。このままで行くつもりなら、いずれつぶれるだろう。入会者を信者化する能力がなければ、職員は増やすべきでない〉

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急逝した大川隆法総裁 ©文藝春秋

 教団内不倫や経費着服が発覚して処分された職員については、わざわざ赤字を入れてこうボヤいていた。

〈何でまたこんなになったかね〉

内部文書には〈何でまたこんなになったかね〉

 他方、多数の著作を発表してきた大川氏だが、キワモノ扱いされているという自覚はあったようだ。

〈ウチの本を“キワ”ものから、メインストリームに変えなければ、この国は根本的には変わらない。もう一段の使命観(ママ)を持て〉

大川氏直筆の〈総裁御指示〉

 これら内部文書が作成された当時、大川氏が後継者と見ていたのは長男・宏洋氏(34)。その後、長男は教団と訣別し、長女・咲也加氏(32)が本命視されるようになっていた。実は、そんな大川氏が死直前の日々を詩や俳句で綴った著書がある。3月15日刊行の『短詩型・格はいく集(4)〈不惜身命の姿・特別編〉』。窺えるのは、12年に再婚した29歳下の後妻・紫央氏(37)と、咲也加氏との間で揺れる教祖の姿だ。