3月16日午後10時半。大勢投手の直球が中村悠平選手のミットに収まると、日本中が歓喜に沸いた。WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)準々決勝で日本がイタリアに勝利した瞬間である。
日本代表、9-3で準決勝進出!
試合会場となった東京ドーム周辺では、会場に入れなかったサポーターがスマホやタブレットを片手に観戦していた。日本の勝利が決まった瞬間、「勝った」という声が方々からあがり、「おめでとう!」「やったー!」という歓声を上げる人が続いた。
今大会において日本で行われる最後の試合となったイタリアとの準々決勝。現地で観戦した興奮さめやらぬファンに今の熱い思いを聞いた。
今回のWBCは初戦の中国戦の中継が視聴率を40%以上をたたき出すなど、日本国内で大きな注目を集めている。日中に会場周辺で記念撮影をしていたファンからは、17万円でチケットが転売されているという発言があった。1番高いプレミアムシートでも10万円程度であることから、その高騰ぶりがうかがえる。
チケット争奪戦を勝ち抜ぬき、準々決勝の試合を観戦したファンたちは、口々に感想を述べながら帰路についていた。60代の古式ゆかしい髪形をした男性に話しかけると、試合後の興奮が残った早口で感想をまくしたてた。
「本当に最高の試合でした。チーム一丸となって勝った試合だと思います。一人ひとりが自分の役目をしっかり果たしてもぎ取った勝利だと思います。村上もやっと打ってくれて、ちょっと泣きそうになりました。本当はもっとバントとか細かい野球をして日本らしさを見せてほしかったのですが、勝ったので良し!
普段はヤクルトを応援しています。子どものころから応援していたから半世紀以上のファンですね。今日は30年来のヤクルトファンの友人と応援していました。このまま、優勝まで勝ち進んで欲しいですね」