ムーキー・ベッツやマイク・トラウトら、MLBを代表する有力選手を擁するアメリカ代表を破り、WBC3大会ぶり3回目の世界一に輝いた侍ジャパン。
投打で獅子奮迅の働きを見せた大谷翔平が三振で試合を締めくくり、興奮のあまりグローブ、帽子を投げ捨てるその瞬間、渋谷スクランブル交差点では何が起こっていたのか。
前編では、一見いつも通りの渋谷の光景であるものの、その一部に狂乱する若い野球ファンが集っていることを紹介した。後編も続けて現地にいた人々のもようを紹介する。
「アメリカ人の友達はずっと言い訳を言っていました」
NPBチームのユニフォームではなく、MLBチームのユニフォームを着ている人もいる。背中に書いてあるネームは“SUZUKI”だ。
「今日はそもそも渋谷に来ようとは思っていなかったんですけど、試合が進むにつれて日本代表が勝ちそうだぞ……となって、『この嬉しさを共有したい!』みたいな気持ちになって、つい来ちゃいました。盛り上がりはそこまでですよね……んー、桜が綺麗です!
僕は日本よりもアメリカで過ごした時間の方が長いんで、周りにはアメリカ代表を応援している友達の方が多くて。今日は彼らとテキストでやりとりしながら試合を見ていました。2回にターナーがホームランを打ったときは向こうから大量にメッセージが届きましたね……。
でも、その裏の日本の攻撃で、これまで苦しんでいた村上宗隆が綺麗なホームランを打って、さらにもう1点日本が得点したじゃないですか。だから、その時には言われたぶん、しっかり言い返しまくりましたよ!(笑)
全然悪い意味ではないけど、野球に関してアメリカ人はプライドが高すぎるから、試合が終わってからも健闘を称えるっていう感じではなくて、『ピッチャーがあんまり調子良くなかった』とか、色々言い訳を言っていましたね。
今日着ているのは鈴木誠也のユニフォームです。シカゴにずっと住んでいましたし、カブスの試合も何度か見に行きました。だから、誠也がWBCに出られないのは少し悲しかったです。本当は活躍する姿を見たかった……けど、代わりにスタメンを張った近藤健介も穴を埋めてくれた、というか、近藤がいなかったらどうなったんだろうってくらいの活躍を見せてくれたから、こういう運命だったんだろうなって受け止めています。
運命っていう話でいうと、試合終了直前に大谷がマイク・トラウトと対戦することになったのも運命的でしたよね。本当に映画のエンディングみたいでした」