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「負けたら終わり」「必ず打たなければいけない」…巨大なプレッシャーに立ち向かう選手たちを支えた“合い言葉”

アメリカに行くまで不振に苦しんだ村上 ©佐貫直哉/文藝春秋

――アメリカでの2試合では不振から復調した村上選手の活躍も印象的でした。三冠王をとるような選手でも、国際大会で普段通りの実力を発揮することは本当に難しいことなんですね。

G.G. プロ野球のシーズンは140試合以上あります。80いくつ勝てばもう優勝ですから、今日負けても明日勝てばいい。バッターも、シーズン通算で3割打てばいいんです。

 しかしWBCでは、準々決勝からのトーナメントは負けたら終わりだし、バッターは必ず打たなければいけません。その甲子園のようなメンタルに、プロの選手は慣れていないんです。

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 そのプレッシャーを、侍ジャパンは「楽しむ」を合い言葉にはねのけました。これは本当にすごい。一番パフォーマンスを発揮できる手段を、みんなで考えた結果だと思います。実際に楽しみながらいつも通りのプレーができたので、世界一を掴んだように感じました。

「ブレなさ」を生んだ栗山監督の“メッセージ”

――1月26日に侍ジャパンのメンバーを発表した際の記者会見で、目標を訊かれた栗山監督は「世界一。それだけです」と答えました。それに対して佐藤さんは、「世界一以外の動機付けを発信してほしい」とおっしゃっていましたね。

G.G. 「金メダル以外要らない」と言われた北京五輪では、準決勝で負けたときに気持ちが切れちゃったんですよ。「3位決定戦に勝って、銅メダルを取ろう」と励まされても、もう目標にできませんでした。

 ところが栗山監督は、準々決勝のイタリア戦の前日会見でこう言ったんです。