連日テレビ中継が40%を超える高視聴率を記録し、準決勝と決勝戦が当日の夜に地上波で再放送されるほどの熱狂ぶりになったWBCは、日本代表がアメリカ代表に3対2で勝ち、3大会ぶり3回目の優勝を果たす結末となった。
これまでもいくども世界と戦ってきた野球・日本代表。2008年北京五輪の代表選手としてその舞台を経験したG.G.佐藤氏が、今回の“世界一の侍ジャパン”をつくったキーマンを語った――。
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2023年日本代表の“新しさ”
――侍ジャパンは、準決勝でメキシコに逆転サヨナラ勝ち。決勝のアメリカ戦は、大谷投手がエンゼルスでの同僚トラウト選手から三振を奪って、1点差で勝利。あまりにも劇的な優勝でした。
G.G.佐藤(以下、G.G.) 最高のWBCでしたね。結果はもちろん、選手たちが楽しんでいる姿を見られたのがよかった。ヌートバーも大谷も「プレッシャーはかかるけど、楽しむ」と口にしていたし、ダルビッシュは、村上が打てなくて苦しんでいた時期に「人生のほうが大事なんだから、野球で苦しむ必要なんかない」と言いました。
僕が日本代表チームの一員として2008年の北京オリンピックに出た頃は、国を背負うという意識でガチガチでした。楽しもうなんて思えなかったし、思ったとしても口にしてはいけない雰囲気でした。今回「楽しむ」と言えたのは、新たな世代の新たな価値観というか、いままでと違う“侍像”を見せてくれたと思います。
――テレビ中継を見ていても、日本チームのベンチが映ると選手たちの仲が良さそうで、楽しそうに見えました。
G.G. そうなんですよ。試合を見ている誰もが「野球って楽しそうだな」って感じたに違いありません。子どもたちは「野球、やってみたいな」と思っただろうし、大人たちは「久しぶりにバッティングセンターへ行こうか」と思ったはずです(笑)。
今回は、2日続けて平凡なフライを落球した僕のようなミスも出なかったし(笑)、誹謗中傷を受けるようなプレーがなくてホッとしています。