文春オンライン

大谷翔平でも吉田正尚でもない…“WBC世界一の日本代表”をつくったMVPと「勝敗に意味のない試合でも戦う理由」

G.G.佐藤の見た「WBC世界一」2023年の日本代表

note

「子供たちに、『出来るか出来ないか』じゃなくて、夢に向かって『やるかやらないか』を見せたい。子供にも大人にも、夢や元気、勇気を与えることができるならば、侍ジャパンとしての意味がある。だから世界一を目指す」

――結果以外の目的を、明確なメッセージとして発信したわけですか。

G.G. さすがだなと思いました。戦う目的を示してくれないと、応援する側も共感できません。

ADVERTISEMENT

「戦う目的」を示した栗山監督 ©鈴木七絵/文藝春秋

 たとえば1次ラウンド敗退がすでに決まっていた韓国と中国が、プール最終戦を戦いました。ああいった「勝敗に意味はない試合」に、戦う目的をどう見出すのか。そこをしっかりコメントできない監督やチームは、駄目だと思うんです。

 たとえ予選敗退が決まっても、子供たちに夢を与えるという目的があるなら、ブレないじゃないですか。今回の日本チームは、そうした点が明確でした。

直前合宿はごく短期間だった北京五輪。「ダルビッシュは、それを経験していますから…」

――北京五輪や14年前のWBC優勝を経験しているのは、ダルビッシュ投手だけでした。そのダルビッシュ投手が2月の強化合宿から早々にチームに合流したことが、結束を固める意味で大きかったと聞きます。

北京五輪も14年前のWBCも経験しているダルビッシュ(写真は北京五輪当時) ©JMPA

G.G. 北京五輪のときは直前合宿も6日間しかなくて、最後までお互いをわかり合えませんでした。ダルビッシュは、それを経験していますからね。一緒にいる期間が長いほどひとつになりやすいので、早くみんなとコミュニケーションを取りたいと思ったんじゃないでしょうか。

 日本の若い選手は、彼からいろいろなことを吸収したでしょうし、時差ぼけ対策なんかも教わったでしょう。本当に、いてくれてよかったですよ。

――優勝決定後はそんなダルビッシュ投手とともに、メジャーリーガーのヌートバー選手も胴上げされていました。