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野球を続けようと思っていた矢先に…

――期待されてるっていうか、見られてるっていう意識を、自覚しはじめたんですか。

宮﨑 そうですね。責任が大きくなるっていう感じでした。それまでは代打中心だったんで、チームが勝てなくても自分のことに必死でした。

 スタメンになると、確実に1試合に4打数ぐらい回ってくる中で、打てば流れも変わるだろうし、チャンスで回ってくることあります。そこで打てないってことが、チームの負けに直結するんで、その申し訳なさというか、チームに貢献できてないっていうところに、ストレスを感じていましたね。

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(撮影:藤田孝夫)

――野球継続をあきらめようと思ったとか。

宮﨑 はい。食事制限というか、体調とかもベストな状態でのぞまなきゃと思って、食事とかも制限していたら、体調も崩してしまったり……。

 こんなにきついんだってことに加えて、負けること、負け続けること、自分が打てないことが、こんなにもしんどい。野球にちゃんと向き合って、こんなにきついんだったら、別にもういいかな、と思ったんです。

 マイナスの感じというより、野球がどうでもよくなったわけじゃなくて、大学まではしっかりやって、それで終わりにしようって……。

 僕は2年まで、けっこう通用してるんじゃないかなと思っていて、春のオープン戦の調子も悪くなくて、そのまま続けられたらいいなっていう矢先に、まったく通用しなくなって。

東大野球部の転機となった「ひとつの勝利」

――ひとつの勝ちは、転機にはなりましたか。

宮﨑 僕よりも、東大野球部としての転機ですね。自分のモチベーションみたいな意味でもありましたし。

――さっきは革命っておっしゃいました。

宮﨑 そうですね。やっぱり、帰納的とか言うじゃないですか。東大生っぽくて、嫌ですけど(笑)。今日も負けたし、ってことは、まあ、明日も負けるし、たぶん、来週も負けるんだろう、これを繰り返したら、もう、4年生で……。これがずっと、1回も勝ったことないというのが、4年間、続くのかって、80連敗して……。

――そういう先輩もいましたね。

宮﨑 そのまま引退してしまうんだろうなって思っていましたね。