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「アンは17年に高校のチームメイトへのイジメ問題が報じられた。問題自体は被害者と和解が成立したといわれていますが、大韓民国野球ソフトボール連盟が関わる国際試合(オリンピックなど)への永久出場停止などの懲戒処分を受けています。WBCへの出場は可能だったのですが、世論の反発が根強く、代表に選出されなかったのです」(菅野氏)

エースのアンは代表入りできず(球団公式HPより)

 元スポーツ紙の野球担当チーム長で、韓国野球学会理事の崔敏圭氏も続ける。

「韓国では最近、学校やスポーツにおける暴力が、非常に深刻な問題になっています。今年2月には、息子の校内暴力が報じられた警察幹部が職を辞している。アン選手の代表不選出も当然視されています」

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批判を受けて「ベスト4に入ったら兵役免除」が廃止に

 さらに、韓国ですべての男性に義務として課されている「兵役」が、選手のモチベーションに影響している。

「06年大会の直前に球界からの要請があり『ベスト4に入ったら兵役免除』という特例を設けた。そして、実際にベスト4入りし、選手たちの兵役免除を行った。しかし、『野球だけを特別視している』との批判を受け、翌年には特例が廃止された。09年大会で韓国が準優勝した際に改めて、兵役免除を求める声が出ましたが、実現しませんでした」(前出・記者)

 13年、17年、今大会といずれの大会も一次ラウンド突破すら叶わなかった。

 “アメ”が無くなり、“ムチ”ばかりの野球大国が、輝きを取り戻せる日は遠い。