中山 ナイスネイチャのそうした戦績は「詰めが甘い」というウマソナが影響しているのかもしれません(笑)。ほかにも「わがまま」や「ムラっ気」のようなマイナス要素のウマソナを見ると、「どうしてこんなのが入っているの?」となりますが、プレイしながら克服しG1の大舞台で勝利すると喜びはいっそうですね。
「ウイニングポスト」シリーズは、馬主視点のゲームなので、最終的に競走馬を何十頭も所有することもあり、過去作では一頭一頭に愛着を持ちづらい面もありました。今作では血統をつないでいく中で「こんなわがままな競走馬がいたなあ」と思い出してくれると嬉しいですね。
“そのまま再現”すると“再現できない”ジレンマ
――競走馬のデータ設定で苦労したことは。
斎藤 ゲームの中で「その馬らしさ」を表現することが重要と考えています。例えば、先のナイスネイチャはG2で勝てますが、G1は好走までですよね。“善戦マン”は“善戦マンらしく”表現できているか……と悩みます。
データを決めて、開発陣が延々とシミュレーションを繰り返すのですが、逆に当時の王者なのに、なかなかゲームでは勝ちまくるように再現できないケースもあるわけで……。結果を見て、何度も調整をします。
――具体的には?
斎藤 代表的な例としては2頭いて、テイエムオペラオーとサイレンススズカです。
史実のテイエムオペラオーは、4歳(現在の馬齢表記に合わせています。以下同じ)のときにG1で5勝して年間無敗という圧倒的な記録を打ち立てていますが、3歳のときはライバルを圧倒するような強さがあるわけではありませんでした。
むしろ3歳では、ライバルのアドマイヤベガのほうが高い素質を評価されており……。さらにアドマイヤベガに騎乗するのは経験豊富な武豊騎手ですし、そのまま表現すると強い馬がさらに強くなる。
それらをそのままゲームで再現すると、アドマイヤベガがテイエムオペラオーを差し置いて皐月賞、日本ダービー、菊花賞の三大レースを全部勝って三冠馬になってしまうこともおこってしまう。