今年30周年を迎えたコーエーテクモの人気競馬ゲーム「ウイニングポスト」シリーズ。競走馬育成ゲームはこれまでも様々に登場してきた中で、どうして本作はそれほど長く続けられてきたのか。また、なぜ『信長の野望』などの歴史ゲームで知られるクリエイターたちは競馬ゲームに参入することになったのか。
誕生の経緯や、最新作へと続く開発の秘話について、『Winning Post 10』のプロデューサー・山口英久さん、開発プロデューサーの斎藤理史さん、ディレクターの中山元一さんに聞いた
(全3回の3回目)。
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あなたの“競馬愛”はどこから? 開発陣にまず聞いてみた。
――プロデューサーの山口さんは、長年競馬ゲームにかかわっているそうですね。
山口 コーエーテクモが合併する前のテクモ時代は、(騎手になってレースをする)アーケードゲーム「ギャロップレーサー2」や家庭用ゲーム機用ソフトの「ギャロップレーサー3」、「ギャロップレーサー2000」を担当しました。その後「ウイニングポスト7 2010」からずっと担当しています。
――山口さんが競馬に興味を持ったきっかけは?
山口 最初に競馬に触れたのは中学生のときで、ミスターシービーの日本ダービーを偶然テレビで見たことです。人気があるのにレースでは最後方にいて「ダメだなあ」と思っていたら、最後には圧勝。「人間のかけっことは違うんだな」と思って、そこからミスターシービーを追いかけるようになりました。
その後、日本馬が外国馬になかなか勝てなかったジャパンカップに、そのミスターシービーや、当時の最強馬であるシンボリルドルフが出走しました。どちらかが勝ってくれるのでは……と思っていたら、ぜんぜん別の日本馬であるカツラギエースが大逃走劇で勝ってしまって。予想外すぎて「競馬って面白すぎる」と感じたことを覚えています。