今年30周年を迎えたコーエーテクモの人気競馬ゲーム「ウイニングポスト」シリーズ。競走馬育成ゲームはこれまでも様々に登場してきた中で、どうして本作はそれほど長く続けられてきたのか。また、なぜ『信長の野望』などの歴史ゲームで知られるクリエイターたちは競馬ゲームに参入することになったのか。
誕生の経緯や、最新作へと続く開発の秘話について、『Winning Post 10』のプロデューサー・山口英久さん、開発プロデューサーの斎藤理史さん、ディレクターの中山元一さんに聞いた(全3回の1回目)。
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――30年前、当時は歴史ゲームを出していた光栄(当時の社名・現コーエーテクモゲームス)が、なぜ競馬ゲームを作ることになったのでしょうか。
山口::当時から関わっていたシブサワ・コウ(コーエーテクモホールディングス襟川陽一社長のペンネーム)が、実は若い頃から競馬好きで……。
当時の開発者にも大の競馬好きがおり、競馬ゲームを作ろうとなって、世界最高峰レースの一つである凱旋門賞を勝つゲームを作る形になった……と聞いています。
シブサワ・コウが言っていたのは「本来、シミュレーションゲームとは疑似体験のこと。戦いや国盗りゲームだけでなく、あこがれるものを疑似体験させたい」ということ。馬主も簡単になれるものではありませんから。ちなみに、シブサワはその後、ファストフレンド(2000年の地方G1、東京大賞典馬)の共同馬主になって“夢”を叶えました(笑)。
「ダビスタ」は意識しましたか?
――30年前は、競馬ゲーム「ダービースタリオン」が人気でした。同じ競馬ゲームとして、意識していたのでしょうか。
山口 ゲームの方向性が違うので、そんなに意識してなかったのではないでしょうか? 「ウイニングポスト」は、競馬のロマンを追求して作られていますし、我々もその考えを受け継いでいるつもりです。