日本の競走馬が、世界最高賞金(約13億円)を誇る競馬レース「サウジカップ」と、9億円の「ドバイワールドカップ」を勝利して話題になっています。

 近年は、アーモンドアイというスターホースの出現や、無敗の三冠馬の誕生、競走馬を美少女に擬人化したスマートフォン用ゲーム「ウマ娘」の大ヒットなどもあって、JRA(日本中央競馬会)の2022年の総売り上げは3兆円を超え、歴代ピークに迫る好調ぶりです。

 そんな中、誕生から30周年を迎えた競馬ゲーム「ウイニングポスト」シリーズの最新作「ウイニングポスト10」(PC、PS5、PS4、ニンテンドースイッチ向け)が発売されました。競馬をゲームに落とし込んだ同作はなぜ、長年にわたって人気を獲得できたのでしょうか。

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シリーズ最新作「ウイニングポスト10」のレースシーン。ゲームならではの演出

ブームの中で生まれた競馬ゲーム

 これまでいくども、競馬界にスターホースが出現すると社会的ブームがおこりました。その代表といえば、1980年代後半に活躍したオグリキャップでしょう。地方から来た芦毛(灰色)の馬が、中央のエリートを次々と撃破し、ライバルと激しく戦う姿に、競馬ファンはもちろん、女性や子どもといったそれまで競馬に興味がなかった人たちも熱狂していきました。

オグリキャップ ©️文藝春秋

 そのブームを追いかける形で、競馬を題材にしたコンテンツが次々と生まれます。マンガでは、芦毛の追い込み馬の活躍を描いた「風のシルフィード」、小柄な馬が主人公の「みどりのマキバオー」、牧場を舞台にした「じゃじゃ馬グルーミン★UP!」、当時は人気の騎手だった田原成貴さんが原作を担当した騎手視点の「競馬狂走伝ありゃ馬こりゃ馬」などです。

 ゲームでは、オグリキャップの引退直後、競走馬を育成する「ダービースタリオン(ダビスタ)」が登場して人気作へと成長します。その後を追うように、馬主になった競馬の世界を描いたゲーム「ウイニングポスト」が登場し、「ジーワンジョッキー」や「ギャロップレーサー」など競走馬を操作するアクションゲームも生まれ、競馬ゲームが人気ジャンルになっていきました。