今年30周年を迎えたコーエーテクモの人気競馬ゲーム「ウイニングポスト」シリーズ。競走馬育成ゲームはこれまでも様々に登場してきた中で、どうして本作はそれほど長く続けられてきたのか。また、なぜ『信長の野望』などの歴史ゲームで知られるクリエイターたちは競馬ゲームに参入することになったのか。
誕生の経緯や、最新作へと続く開発の秘話について、『Winning Post 10』のプロデューサー・山口英久さん、開発プロデューサーの斎藤理史さん、ディレクターの中山元一さんに聞いた
(全3回の2回目)。
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馬にも「パーソナリティ」が…
――最新作「10」では競走馬の3Dモデルが一新されるなど、様々な変化がありました。30年続けたシリーズですが、さらにそこに手を入れるときにはどのような意図があったのでしょうか。
中山:今作は「競馬ゲームナンバーワンの圧倒的なリアリティで、極限まで没入できる馬主体験」というコンセプトでスタートしました。まずは3Dモデルの一新により競走馬の美しさや力強さを表現し、レースシーンで圧倒的リアリティを実現しようと考えたわけです。
「馬主体験の没入」をどう表現するかは開発チームでも色々議論し、最終的には「競馬の主役である競走馬の表現を掘り下げよう」という結論に至りました。それで、これまでにないアプローチとして、競走馬の内面を表現するというアイデアが出たんです。
こうして、馬の個性を表現する馬のパーソナリティ「ウマーソナリティ(ウマソナ)」が生まれました。
「ウマソナ」ができたことで、それまでは「スピード値が高いから強い」など、数字だけで見る傾向にあったものが、ガラリと変わりました。強いけれどひねくれているなど、馬の個性がうまく表現できるようになったのです。またウマソナは変わっていくこともあるので、生き物の成長を見守るような感覚を楽しめるようになりました。
――登場する馬を見てみても、確かに個性がそれぞれですね。たとえば、ゲーム中でナイスネイチャはG2では強いのに、G1の大レースでは今一つ決め手に欠ける着順になりました。。