「過去作と似た内容になってしまう」人気ゲームのジレンマに…
人気ゲームはシリーズを重ねると、特有の悩みに直面します。「過去の作品と似た内容のゲーム」になってしまうのです。
ただ、「ウイニングポスト」にはこの問題は必ずしも“問題”ばかりではありませんでした。競馬の歴史が積み重なるたびに、新しいスターのドラマを、ゲーム内で再現できる強みもあったのです。
シリーズ最新作の「ウイニングポスト10」では、競走馬の長所だけでなく短所も「個性」として再現されるようになりました。ワガママな馬が練習嫌いを克服したり、大レースでの勝負弱さを克服するところにも、競馬の面白さがあるのです。
そうした競走馬との信頼の絆を深めることが、活躍のカギを握っています。ゲームになると、ついつい競走馬のスピードやスタミナといったパラメーターに目が行きがちですが、あえてそことは違う魅力を持たせたわけです。
“ツボ”をおさえつつ、新しいファンを取り込み続ける30年
こうしたファンの“ツボ”をおさえた作り込みを続けてきた「ウイニングポスト」ですが、その一方で「このゲームでほぼ初めて競馬に触れる」というユーザーに向いた内容も充実しています。
ゲームに登場する実在の名馬の「名鑑」も用意され、レースシーンでは、テレビ中継のような演出に加え、スローモーション、競走馬視点のアングルも組み込んで、迫力を出しています。
また、初心者に配慮した説明も多く、競馬のことが詳しくなくてもゲームを遊んでいると自然と競馬の知識が身につくように、ハードルが低く作られています。
競馬には独特で複雑な決まりがあるのも確かで、結果として、競馬の知識を持っているほうがさらに楽しめます。一方で、「新規」のユーザーを取り込まなければ30年もゲームは作れません。
このバランスを上手くとれたことが、“人気の長寿”を実現できたポイントだと言えそうです。シリーズとして30年続くのは、徹底した配慮があるからなのです。
「ウイニングポスト10」には、アーモンドアイはもちろん、三冠馬のコントレイルや三冠牝馬のデアリングタクト、「サウジカップ」優勝の逃げ馬・パンサラッサ、「ドバイワールドカップ」で強烈な末脚を見せて勝ったウシュバテソーロもいます。
歴史的名馬の馬主になって、伝説を作るのも良し。新たな名馬を生み出して、スターたちを敵にして戦うのも良し、トウカイテイオーやメジロマックイーンの系統を繁栄させて、競馬の歴史を変えるのも良し……です。ゲームの魅力の一つは、実際になかったこと、自らの思いを“再現”することにあるのですから。
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