サラリーマンの二極化
フローの収入が頼りのサラリーマンの世界も完全に二極化している。良い学校を出て、内部留保の厚い良い会社に入れば、会社を辞めない限り、恙ない人生を送ることができてしまう。昔と異なり今の職場はパワハラなし、残業なし、有給休暇フル消化、国民の祝日数は世界有数だ。それでいて米国の企業と違って、サラリーマンは労働法に手厚く守られて、絶対馘になんかはならない。高度成長期やバブル期よりもはるかに楽になっているのだ。
それどころか、政府の要請で給与まで上げてもらえる。これはもうパラダイスだ。コロナ禍でテレワークが推奨されたとき、平日のゴルフ場や釣り船が突然増殖した客で大盛況になった姿は象徴的だ。会社の目が行き届かずにサボるサラリーマンが増えたことも何となくうなずけてしまう。
WBCを観るために、会社は有給休暇とって休んじゃおう。あるいはテレワークと称してテレビの前で仕事しているフリをしよう、である。
日本人の6人に1人が貧困層
一部の人たちが楽をして、その人たちに使われる貧しい人たちがいる。厚生労働省の発表によれば2018年の日本の相対的貧困率は15.7%。なんと日本人の6人に1人にあたる約2000万人が年収で127万円以下の貧困層に陥っているのだ。
ストックで生きる富裕層と、生活すらまともにできない貧困層に分離され、中間層が存在しなくなったのが現代日本である。これはまさにパンとサーカスに浮かれる国民がいるいっぽうで、国の足元が揺らいでいく始まりなのかもしれない。
チャーチルの名言「資本主義の欠点は幸運を不平等に分配してしまうことだ」が頭に浮かんでくる。
日本も世界もどうやら行き着くところまで行きそうだ。その先に見えるものがどんな世界なのか、タモリさんがいう「新しい戦前になるんじゃないでしょうか」にだけはしてはならない。浮かれポンチの日本、舵取りは大丈夫なのだろうか。