プロ21年目を迎えた和田毅投手は、今年もまた開幕ローテーションの1人に入った。4月5日のオリックス・バファローズ戦に先発して、見事に今季初勝利を挙げた。
立ち上がりは三者凡退も、ヒーローインタビューで「ブルペンでの調子は良くなかった」と振り返ったように走者を置く場面もあった。だけどピンチの乗り越え方は分かっている。強気の直球勝負で得点を許さず、5回無失点と好投した。これが42歳1カ月での白星となり、今井雄太郎氏が持つ41歳9カ月の球団最年長記録を塗り替えたのだった。
「新しい登場曲はどうかな?」
今季初先発のマウンドは京セラドームだった。いずれかのタイミングで本拠地のマウンドにも上がるだろう。
今年、和田投手は登場曲を新しくする。私が制作をして、歌唱する「3代目」の登場曲だ。
「新しい登場曲はどうかな?」
昨年11月26日、私の出演するラジオ番組『冨永裕輔のなんでもゆーすけ!』(CROSS FM)の公開収録イベントでのこと。本番前の当日打ち合わせの席だった。
番組開始から8年目、初めて実現した念願の公開収録イベントのスペシャルゲストに、和田毅投手をお迎えしたのだ。
打ち合わせにも気合が入る。リスナーから和田投手に寄せられていた多数の質問メールを事前に本人へお伝えした。野球に関する質問はもちろん、人生へのアドバイス、和田投手が飼われているウサギの「モフちゃん」についてなど、和やかに打ち合わせは進んだ。
その最後にふと、和田投手から私に質問は?と問うてみた。その返答が、先ほどの言葉だった。
だけど一方で、こんな風にも言ってもらえた。
「皆さんに親しんでもらえた『21』を変えるのは寂しさもあるんだけどね」
『21(トゥエンティワン)』は、2020年シーズンから3年間使っていただいた和田投手の登場曲だ。この曲は、当時プロ18年目に向かう和田投手からのファンへの感謝と、ファンから和田投手へのエールを繋いだ登場曲だった。
背番号がそのままタイトルになっているように、ラップ調で和田投手の新人時代からの歴史を歌うなど、歌詞の内容も和田投手そのものを表した曲になっている。和田投手と共演させていただき無人の福岡PayPayドームで撮影されたMVには、各地からエールを送るファンの姿が重なり、その後始まったコロナ禍も相まって印象深い作品となり、ファンの皆さんやプロ野球関係者からも支持していただいた。
そんな『21』に代わる新登場曲。
和田投手からは、続いて下記のようなリクエストをいただいた。
「今度は直接的には野球を歌っていないような内容が良い。すべての人の応援ソングとなるような。そして、冨永君の歌をもっと、もっと全国の人に届けたい」
確かに思い返せば、2017年から3年間登場曲として使っていただいた初代の提供楽曲『War』も、“ダイヤモンド”など野球にちなんだ歌詞を盛り込んだロックソングだった。この時は、私がもともと得意としていたバラードソングから殻を破り、闘いを鼓舞する強い楽曲を求められたという経緯があった。
そのような歴史を経ての、私本来の高音を伸びやかに歌い上げる楽曲。和田投手からもファンの皆さんからも当然、『War』、『21』を超える歌を期待されるはずだ。私の真価が問われる作品になると思った。