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元ドラゴンズ・英智が明かす「私が24年間、チームスタッフにTシャツをデザインし続けた理由」

文春野球コラム ペナントレース2023

2023/04/13
note

野球とデザインに共通すること

 こうした一連のスタッフTシャツを制作した経緯があったからこそ、ファンの皆さんに向けて「英智デザインTシャツ」の販売がスタートしたのです。

 皆さんに販売するデザインも、私のこだわりを詰め込んでいます。試合当日に観戦で応援する目的のものであることは勿論ですが、球場へ向かうまでのショッピングでお店に立ち寄られた際にでも、その場の雰囲気に自然と溶け込めるものを、と想像して制作しています。

 どう見てもこれから観戦に行くと分かるデザインではなく、買い物途中の街の人が見ても、「へー、それってドラゴンズのアイテムなんですね」って感じのものを提供したいと考えています。

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 ここで以前に作ったデザインの中から「ABCDEFIGHT!」を紹介したいと思います。

 誰もが英語を習い始めるとき、当たり前のように順番にABCD....と読み上げるでしょう。それをリズムに乗せてっ! その気持ちにリンクさせて作製してみました。

 中日ドラゴンズは「CD」で構成されていますから、アルファベットを最初から読み上げると順番通りに「A」「B」となって、続いてドラゴンズの「CD」と読み上げることになります。

 そしてその次の「E」は日本語の“良いぃ~”と発音できますから、「ドラゴンズ(CD)、良いぃ~(E)」と捉えることができると思います。そして、最後は応援者の気持ちを代弁するかのように「F」で「FIGHT!(ファイト!)」と連携させます。すると、

「ドラゴンズ、良いファイトを魅せてくれ!」

 と、あらまぁ自然に一括りのフレーズで歯切れの良さが出てスッキリ!となりました。

©英智

 デザインを完成させるまでの手順ですが、これが大概いつも一発目に何の気なしに描いた走り描きみたいなものを結果的に採用していることが多いんです。そこが自分でも不思議に感じます。

 最初に思いついたものだけではなく、色々とあれこれ描き出して悩んだりはしてみるのですが、結局最初にパッと思い浮かんだものへと立ち返り、やっぱりこれかなって決定しています。完成した作品から紐解くと、私には最初のインスピレーションがどうやら重要みたいです。

 だからといって、最初に描いたものだけでデザインが完成するわけではありません。そこまでの過程も大切です。

 

 野球の動作においても、思い当たる全ての動作を自分に合っているのかどうかと色々試してみます。そして、その動きの中から自分に合うものを確立していきます。

 自分に合った動きを見つける過程の中では、無駄になるであろう動きに時間と労力を費やしてたくさん試します。この作業は避けては通れないですし、最も大切な作業です。

 優れた選手でも安易に、自分のスタイルへといきなり辿り着けはしないはずです。たくさんたくさん廻り道をします。ですが、その道筋しか存在していないでしょう。近道なんてないと思います。

 皆さんの目には届かない、無駄になるであろう作業が、野球においてもデザインにおいても大切なんだと再確認させてもらっています。

 私がこの先、新たなドラゴンズグッズを制作するにしても、野球で培ったスタイルが軸となるでしょう。 

 今後もグッズは作っていきます。イベントの際に皆さんにプレゼントするグッズなども現在制作中です。楽しみにしていてもらえると嬉しいです。

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