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平沢大河に覚醒の予感…吉井監督の“粋な采配”はロッテを変えるか

文春野球コラム ペナントレース2023

2023/04/16
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“背番号6”は井口前監督から平沢大河への置き土産

「去年と変わって雰囲気がよくなった」なんていうと、昨年までの井口マリーンズは雰囲気が悪かったのかと突っ込まれてしまいそうだが、もちろん井口前監督を否定しているわけではない。井口前監督がチーム作りに信念を持って取り組んできたからこそ、2年連続の2位という結果がついてきたのは紛れもない事実だ。

 だがやはり、試合に出る機会が得られなかった平沢や田村には「どうして去年は使われなかったんだろう」と思わせるような活躍をしてほしい。「去年だって使ってもらえたら活躍できたわ!」と見せつけるかの如く大暴れしてほしいのだ。

 二人が起用されなかったのは井口前監督から見れば力不足だったのかもしれないし、チーム編成に合わなかったのかもしれない。少なくとも二人にも足りない部分があったのは間違いないだろう。反省すべき点はもちろんするべきだ。

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 しかしそれでも二人は去年の不遇を心のどこかで井口前監督のせいにし、悔しさと反骨心を力に変えるくらいのつもりで一年間戦ってほしい。

 特に平沢は井口前監督からも常々「野球センスはチームでナンバーワン」などと評価され続けてきたし、自らの背番号6番を「取りに来いと伝えてずっと待っている」とまで口にされていた。起用されなかったのは井口前監督の期待値が高すぎて、そこに到達しているように映らなかったからなのかもしれない。

 4月14日現在、平沢は決勝ホームランを放った翌日の第1打席でヒットを打って以来当たりが止まってしまっているが、出場6試合で5四球と出塁で最低限の貢献は続けてきている。スタメンで起用され続けているあたり、吉井監督からの評価も悪くないのだろう。どうにかここから死にものぐるいで、去年までの悔しさをすべてぶつけて一軍でポジションをつかみ取ってほしい。

 そして直接受け取ることはできなかったが、井口前監督の6番はまだ空いている。来年の春季キャンプでは背番号6のユニフォームを身にまとい、取材に訪れた井口前監督に思いっきり「ほれ見ろ!」と背中を見せつけてやってほしい。それが一番の恩返しになるだろうし、きっと井口前監督は満面の笑みで喜んでくれるから。

©野島慎一郎

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