公私混同の謗りを免れ得ない経費項目
事実、「人事及び役員報酬の決定に関して大きな影響力を有していた」「鴇田氏に対して意見を言うことは困難であると感じる者が一定程度存在」したとの指摘が報告書にもある。
鴇田社長独裁体制が名門TOKAIを蝕んでいく過程を報告書は詳細につづる。女性と一緒に泊まった宿泊代や、マッサージ代、さらには「情報収集」を名目にKindleでの「鬼滅の刃」19冊の購入費など、公私混同の謗りを免れ得ない経費項目がずらりと並ぶ。家族などとの業務と一切関係のない食事を含む「会食」も、直近3年間で3392万円に達したという。一方、消極的ながらも鴇田氏の「会食」の多さに理解を示す声もある。同業関係者が話す。
「TOKAI幹部は静岡県外から来る人が多く、地元生え抜きの政財界関係者とは少し距離がありました。社長業は顔を広げてなんぼでしょうし、鴇田さんの会食が多かったのは理解できます。『混浴はVIPたちのもてなしのためだった』という釈明もありますが、実際こうした接待なしにはビジネスの足場はつくれなかったかもしれません。しかしクーデターがなった以上、現経営陣が彼の功績を認めることはありえませんがね。ただ、鴇田さんはまだ『俺は復権する!』と周囲に息巻いているそうです」
本人は「大変な激務でありました」
鴇田氏は会社への反論の中で、こうした会食費は必要経費だったと主張しつつ、「71~77歳という年齢に鑑みると、大変な激務でありました」とも言っており、「労をねぎらえ」と言わんばかりのトーンをにじませている。鴇田氏をよく知る静岡の財界関係者が言う。
「たまに『歯医者にいく』と浦和の家に帰ることはありましたが、静岡にいることが多く、顔が広かったのは事実です。鴇田さんは、話好きで飲みに誘えば必ずお見えになりましたよ。いつも落ち着いたワインバーで、店員に勧められた高そうな赤ワインを飲み、金に無頓着な様子はありましたが。そんな羨ましい生活を知ってか、同社に天下りしたいと熱望する経産省の役人は多かったようで、『蜜に群がるクワガタみたいだな』と地元関係者からは揶揄されていましたね(笑)」
会食の是非はどうあれ、センセーショナルな視線を特に浴びたのは女性コンパニオンとの混浴だろう。ある社外取締役は“社業としての混浴”が発覚した際、「混浴というのは想像するだに恐ろしい」と、率直な感想を漏らしている。