中学卒業時にマッチングアプリで出会った男性に無理やり…
性行動の履歴も明らかになった。被告の初めての性体験は中学卒業直後に興味本位からマッチングアプリで会った男性に無理やり性行為をされたことだった。高校2年時に1学年下の男性と交際を始めると交際にのめり込んだ。彼がいじめの悩みを相談できる唯一の相手だったためだ。親の制止を聞かず、2階から飛び降りたり浴室の窓から抜け出したりして彼の家に行ってしまう衝動的な行動が頻発。社会人になってから妊娠したが、相手が高校生だったため、両親が中絶するように説得した。
衝動的な行動が激しかった高3のとき、母親は被告を心療内科に連れて行っているが、勧められた衝動性を抑える薬を被告は服用しなかった。
中絶手術をした際には社内で事実ではない噂を流され、完全に居場所をなくす。中絶体験は「お前だけ幸せになるなんて」と赤ちゃんに責められているような気持ちがするなど、心に傷を残した。この頃から衝動的な行動は加速していく。
突然大阪に就職した恋人を追って家出すると、住み込みの工場勤務を半月ほどで辞め、デリヘルの仕事に就いた際には店長から仕事の研修として性行為を強要されるレイプ被害にあった。
1年ほどで実家に戻り弁当店で勤務していた頃にアプリで仙台在住の大学生と知り合い、再び家出。仙台のデリヘルに勤務する。この大学生からは、競馬に奨学金をつぎ込んだ責任を転嫁され、デリヘルの売上を際限なく払い続けなくてはならない状態に陥った。デリヘルを辞められなくなり、常連客に避妊をしないレイプまがいの行為を強要されたあと、経口中絶薬を手に入れることができず、妊娠。保険証がなく、産婦人科を受診することはできなかった。
男性(元大学生)が就職し、札幌に転勤すると、追いかけて札幌へ。札幌では、男性には「太い客が肉体関係なしにマンションを提供してくれている」と偽り、実際はホテルを転々としていた。
陣痛の苦しみに耐え、たった一人ホテルで出産
陣痛が始まったとき被告は男性と札幌駅に隣接するデパートのレストランで食事をしていたが、ネットで中島公園近くのホテルを予約。食事を終えて別れると、タクシーで向かい、ホテルの隣にあるコンビニで飲み物などを購入している。夜を通して陣痛は続き、被告はホテルの室内をひたすら歩いて痛みを逃した。
翌日の夕方にようやく浴槽に張ったお湯の中で生まれた赤ちゃんは、お湯から引き上げるとおぎゃーと2回、産声をあげた。そのとき、目が合って責められているような気がしたと被告は供述している。「自分ばかり幸せになって」と責められたように感じ、被告は赤ちゃんをお湯に沈め、その後、出産の疲労から寝落ちする。目が覚めて水中から引き上げた赤ちゃんは冷たくなっていた。
男性は事件発覚後、警察の取り調べに対し「恋人とは思っていなかった」「デリヘルで働いている女性は恋人にしたくない」など、被告を利用していたことを認めた。